【重版出来!】14巻感想。心ちゃん、壁に。

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遅ればせながら、『重版出来!』14巻を読みました。

私はドラマから入りましたが、とても面白い作品です。

漫画好きならスルー出来ない編集の裏側などが垣間見られる作品であり、社会人として間もない主人公、黒沢心ちゃんの奮闘ぶりや、熟練の考え方、周囲のサポート、業務の内容などが面白く、毎回感動せずにはいられない、心打たれる内容です。

 

年のせいか、すぐ泣いちゃうんですよね・・。

 

 

心ちゃんのメンタルは、いつも私のお手本

 

この物語の主人公、「黒沢心」ちゃんは、元オリンピックの強化選手であり、体力も気力も並みではなく、悩む部分はあるものの、鍛えられた心技体。

心理描写を深く掘り下げて崩壊していくような作品が多い中で、 陰に入る部分は少なく、読後感は毎回とても気持ちがいいものです。

こういう作品は、もっとあってもいいと思う。

 

ポジティブとはまた違う、自分の信念に基づいた、確固たるプライドにより明日を築く人間が働いている様は、読んでいる自分も勇気づけられ、そうありたいと光を感じる部分でもあります。

 

鬱展開が多い作品は、一部でとても評価されるけれど、読み手を取りこんでしまう事も多い。

でも、どうせ取り込まれるなら、元気を貰える作品に取り込まれたい。

 

『重版出来!』はドラマにもなり、そちらの方は大団円で最終回を迎えましたが、連載はまだ続いています。

 

ドラマの方は脚色もあったけれど、原作の思いをちゃんと表現できていて、とても出来が良かったと思います。

私は毎回泣いてしまった。

そんな『重版出来!』14巻には数種のエピソードが入っていますが、ヤマは前半の部分となります。

そしてやっぱり、気になる所で終わるけど、読後感は相変わらずとても良かったです。

 

中田画伯、作品に取り込まれる

 

冒頭の文で「取り込まれる」という事を書きましたが、『重版出来!』第14巻。

13巻から様子のおかしかった中田君が、作品に取り込まれてしまいます。

幼少期のつらい体験から人とは違う感性を身につけ、他人には書けないストーリーを綴り才能を開花させた中田画伯。

今までため込んだ負の感情を爆発させるような超集中で作品を完成させていきますが・・・。

 

これ以上の詳しいあらすじは避けますが、有名な落語の師匠やお笑い芸人が、笑いと通常の境目が分からなくなったり、客観的に作品が見られなくなったり等、 「作家が作品に取り込まれる」という話は、意外とよく聞きます。

 

自らの深い部分を探ったり切り売りするようなお仕事は、精神の崩壊と背中合わせなのかもしれないですね。

この事があって、心ちゃんは中田君の担当を外されてしまう訳ですが、この後の編集長や五百旗頭さん達のフォローや叱り方が素晴らしいです。

言葉は多くないけれど、適切な判断をし、理由をはっきり伝え、フォローする。

心ちゃんもダメージは受けているし、落ち込んでもいるけれど、腐らず納得して前に進もうとします。

この辺が、この作品の本当にいい所なんですよね。

 

心ちゃんは、人にも職場にもとても恵まれているとは思いますが、強化選手時代に心を癒してくれた漫画界でどうしても働きたいという強い気持ちと、誠実な姿や行動がしっかりと伝わるので、周りも気にかけてくれるのだと思います。

周囲の環境が良くなるのは、自分が周囲にしている態度の表れとも言いますから。

逆に、悪くなる時は、自分の事を顧みる事も大事です。

 

後半は少しご都合主義のような気もするけれど、「好き」という気持ちは、岩をも砕く(?)

 

さて、14巻後半は、中田君の事も続いていますが、ベテランの書店員河さんのリストラから物語が展開します。

 

このご時世で昔ながらの書店は経営が苦しく、人員を削減したり、店舗数の削減を余儀なくされています。

心が勤める「週刊バイブス」も発行部数の減少とか、電子書籍への移行等の回がありました。

 

世の中が変わっていくときはあっという間。

河さんも、一旦本屋は諦めて転職を考えますが、好きな分野で出来るだけやってみようと、あがく事を決めます。

ここから話は急展開。

 

いささかご都合主義のような気もしましたが、河さんは、好きな気持ちを貫いて、新しい道を切り拓いていくことを決めました。

今度は経営者となるので、結果はまだまだこれからですが、時代のニーズに合った新しい書店をオープンする事になります。

 

『重版出来!』を読んでいてとても面白いのは、漫画業界の裏側が見られる事だけではなく、最新の世界を知る事ができて、びっくりするほど勉強になります。

出版業界にいるのだから情報は絶えず最新なのは当たり前ですが、今回はクラウドファンディングの事がよくわかるようになっています。

 

以前は、AIを駆使した最も検索されているキーワードの話などもあり、現在は、畑違いの仕事をしていてだんだん世の中に疎くなっている私にとっては、いつも目から鱗です。

SNSやネットニュースで聞いたことはあるけれど、今、世の中はこんな事になっているんだねぇ・・。

 

14巻はアユちゃんの門出もあり、春にぴったりな巻となりました。

 

そんな訳で『重版出来!』14巻。

今回も面白く読みました。

所々アユちゃんも登場し、人間関係は繋がっていきます。

 

そして・・、高校生となったアユちゃんは、新しい環境で明るい兆しが見え始めます。

 

中田君はまだ心配な状態で次の巻へ続きますが、アユちゃんの義務教育の終了、高校入学、河さんの門出と、新展開へ向けて、春にぴったりな14巻となりました。

15巻の発売は、現時点では8月予定との事。

私はまたワクワクして待ちたいと思います。

 

こうやって、だんだん年を取っていくのだね~・・。

やだわ。

それではまた。

『重版出来!』は、電子書籍でも読むことができます。

今回14巻を読んで、『私はやっぱり紙が好きなんだな』とは思ったけれど、小さい中にたくさんの本を入れて歩ける電子書籍も、否定はしないですよ。

それではまた。