不健康男子が好きなら是非『アンメット』を読もう!

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医療ドラマに外れなし等言いますが、医療漫画にも割と外れは少ないように思います。

今日は、母の病院で見つけた漫画『アンメットーある脳外科医の日記ー』が超面白かったので紹介します!

不健康男子が好きな方は、すぐに読んでみよう!

『アンメット』という言葉と漫画の簡単な説明

「アンメット」とは、直訳すると”未だ対処されていない”という意味ですが、”未だに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ”という意味合いで使う、医療用語としての「アンメット・メディカル・ニーズ」という言葉もあるようです。

人生を変えてしまう脳の疾患は、治療だけがゴールではなく、その後残ってしまう障害や、家族の在り方などが問われることも多く、大きな問題が残るのですが、これまで、あまり大きく描かれることは少なかったように思います。

この漫画は、そう言った部分にも焦点を当て、単なるゴッドハンド漫画ではなく、しっかりと地に足の着いた作品となっています。

掲載誌は「モーニング」。

モーニングはちょうど「コウノドリ」が終了していますから、本誌のバランスとしては、とてもいいタイミングで始まった感じですね。

原作者の子鹿ゆずる氏は元脳外科医だそうで、コミックにも

「◯◯だったけど転職したら夢の印税生活で賞」略して「転生賞」にて『M’s BRAIN』で大賞を受賞。モーニング連載作『アンメットーある脳外科医の日記ー』の原作を担当し、本作がデビュー作。

と、紹介されています。

しかし、サラッと調べただけでは、これ以上の経歴は出てこず。

「現代ビジネス」というサイトに執筆した記事でしか、その人となりを推測できるものは見つかりませんでした。

「脳卒中」を甘くみてはいけない…元脳外科医がマンガを通して伝えたかったコト

作画は「大槻閑人」氏。

簡潔な線と見やすい絵柄。

にもかかわらず、リアリティのある場面をしっかりと描き切っていて、1話目から読者をアンメットの世界へ引き込みます。

脳外科という、漫画で表現するにはちょい難しい分野を、うまい具合にコメディで味付けし、シリアスな中にもキャラの魅力が溢れ、絵とセリフのバランスも絶妙です。

代表作は「アイターン」という事ですが、チラリと拝見した所、ストーリーが大人向けのためか、アンメットよりは多少劇画調な絵柄でした。

『アンメット』は、少し絵柄を変えて、少年漫画風味になっていますが、今後、代表作入りとなる事は、間違いなさそうです。

『アンメット』の簡単なあらすじと感想

漫画『アンメット』3巻表紙
画像、漫画『アンメット』3巻表紙より/大槻閑人/子鹿ゆずる/講談社

という所で、漫画『アンメット』のあらすじを、感想を交えて少し。

年間手術件数が、日本の約5倍と言われるフィラデルフィアで、脳外科医として活躍していた医師「三瓶 友治(さんぺい ともはる)」は、実験のために飼っていたラットを逃がしてしまった事により、勤めていた病院に不利益を与えたため、解雇になってしまいます。

転職先は、地域の基幹病院である、「丘陵セントラル病院」。

世界的な活躍をしていた三瓶が、何故この病院に来たのかは、後々分かる事なのですが、ここでは一応伏せておきます。

で、三瓶先生のビジュアルが、猫背で細身。

常に寝不足で目の下にクマがあるという、正に不健康男児

何となく、デスノートのLを意識しているのかなという感じですが、もさっとした感じがなかなか魅力的。

そこに、同じ病院の自称エースである星前先生と、記憶障害のある女医「川内 ミヤビ」が加わって、チームとなり、緊急の患者や、その予後を追っていき、様々な問題をクリアーしていくというのが、この漫画の主なストーリーです。

三瓶先生があまり空気を読まない人なので、それをよく思わない人物がいたり、白い巨塔張りに派閥や自己顕示欲がバチバチの漫画なのかと思いきや、そうではなく、概して登場人物の志は高く、自分のミスや相手の秀でた部分を素直に認める事ができるような、気持ちのいいキャラが多く、安心してストーリーに集中できる内容になっています。

特に、三瓶の相棒ともいえる星前先生は、三瓶のよき理解者であり、代弁者であり、一服の清涼剤であり、彼なくしては、この漫画は成立しないと言えるほどです。

3巻ではヒール役のような医師が登場しますが、後半、『彼もまた医師であったか‥』という部分があり、読後感もとても良いです。

ただし、ストーリーはあくまでも現実的。

スーパードクターが、手術不能な患者を次々に切って生還させていく・・。

なんて事はなく、メインは、脳のどこにダメージを負ったらどういう状況になるとか、その予後や経過として、こういった事が起こるというような内容を基に、手術があったり、エピソードがあったりと、いかに三瓶でも、救えない患者はいるという、最も現実的な部分も描かれます。

脳を患うという事は、とてもシリアスで、人が変わったようになってしまう事に、家族も戸惑うばかり。

私も、脳腫瘍で友人を亡くしていますが、葬儀の時に喪主が語った「脳腫瘍は、夫の命だけではなく、人格も奪っていきました。」という言葉が忘れられません。

『アンメット』は、まさにそんな内容も詳しく描いているのですが、シリアスな中での笑いの部分が絶妙で、一気に4巻まで読んでしまいました。

三瓶先生は、割と常識的だし、社交辞令も言える人

さて、常に寝不足で、エナジードリンクが手放せない三瓶先生。

さぞかしコミュ障的な描かれ方をしているのかと思いきや、そんな事はありません。

多くの紹介サイトでは、三瓶先生を「ワーカホリックで型破り」と紹介していますが(これ、公式が出している文章ですかね)、別にそんな事はなく、第一話で銅像とノミを使用した事以外は、極常識的にオペが繰り広げられている印象を受けます。

三瓶先生も、ちょっと変わっているけれど、社交辞令も言えるし、会話も一般的だし、相手を称賛することも出来る人です。

物語には、ちょっとだけサスペンスな味付けの部分がありますが、4巻までを読んだ限り、悪意のない登場人物が多く、主軸のストーリーを邪魔しない作りになっています。

それでいて、皆魅力的に描かれていますから、面白くないわけはないのです。

医療漫画好きなら絶対読んで欲しいし、不健康男子が好きな人にも読んでもらいたい。

とにかく、私も経験しましたが、脳を患うという事について、どのような障害が起きるのか。

知っている人は多いと思いますが、改めて認識できる漫画『アンメット』はとても面白いので、読んでみて下さい。

(それからね~、4巻の最後に、四宮先生が挿絵で・・)

それでは。

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