【チェンソーマン】レビュー!8巻あらすじと感想

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2020年8月。

待望の『チェンソーマン』第8巻が発売されました。

結局大ファンになってしまった『チェンソーマン』。

8巻購入しましたので、あらすじと感想を記事にします。

ネタバレはありますが、一応派手なネタバレの前には注意書きを入れておこうと思います。

『チェンソーマン』8巻全体的な感想

『チェンソーマン』。

8巻も面白かったですね。

これまでと違って話が複雑というか、核心に迫る部分が一部あり『結局どういう事だったのか』という所で、7巻を読み返したり、悪魔の転生やつながりなんかを反芻したりという作業も私には必要な巻でした。

この漫画は詳細な種明かし的な事はほとんどしない上、過去編とかもほぼないので、どれくらい注意深く話を読むかというのも大事なんですが、まぁ雰囲気で読むことも許される漫画です。

そして今巻は、作者藤本タツキ氏の表現する世界観が素晴らしく、コマの奥に広がる思想的な世界を堪能できる巻でもあります。

人気のあるバトル部分については、私はそこまで面白いとかカッコいいとかはなかったですが、小さく挿入されるちょっとしたコマから動きやシーンを感じたり、登場人物の心の機微や心情を感じ取ったり、くすりとできる部分があったりと、途中休憩なしで一気に読み終えました。

大きな見開きで表現される世界が素晴らしく、『ついにチェンソーマンここまできたか』という感情を抱いた人も多かったと思います。

そしてこの話、気になる人が沢山出ますが、吉田君の特別扱い感が際立っています。

読者サービスともとれる、いったい彼は何なのか??

彼だけ絵柄も違うよね。

女性読者が増えたためか??

あ、あと、巻末のおまけ漫画は、作者の藤本さんにはお礼しかありません。

ありがとーー!!

『チェンソーマン』8巻あらすじ

『チェンソーマン』の第8巻は、7巻より続くバトルがメインの巻となっています。

日常パートはありません。

岸辺とクァンシのタイマンからバトルは発展し、舞台は一時地獄(地獄のような戦いという意味ではなく、本当の地獄へ行く)となり、そこからややあって舞台は地上に戻り、サンタクロースとデンジが対決します。

バトルはクァンシも加わりサンタクロース編の佳境に突入。

デンジはバトルに勝利したかに見えましたが、とどめを刺したのは意外にも・・・??

という感じです。

一緒に地獄へ落とされた魔人たちは、ここにいる悪魔は銃の悪魔より恐ろしいと、恐怖しています。

クァンシが連れていた魔人なんて、恐怖の極限で自殺の許可を願い出る程。

ビームも暴力の魔人も苦しんでいます。

しかし、この場面とラストで表現された世界は素晴らしく映像的。

闇の悪魔が登場するシーンなんて、哲学的というか、詩的な世界が広がっています。

地獄でのストーリー自体は短いですが、セリフや擬音が少なく、シーンとした暗闇でのバトルは、直接的なバトル表現に比べて視覚と脳に訴えかけてきます。

話は一件落着するのか、まだ少し続くのか、後日談をしてくれるのか微妙な部分で終了しますが、ラストのコマは岸辺の心情を絶妙に表現している一言で終了します。

8巻珠玉のセリフ。この一言に感情が全て凝縮している。

ここまでで、今までの本筋であった「悪魔を退治し、銃の悪魔の居場所を突きとめて滅ぼす」という目的の裏に、実は違う計画が隠されていたのだという事が、少しづつ明らかになります。

勧善懲悪な漫画でないことは読者の誰もが感づいていますが、一体魔人やマキマの夢とは何なのか?

本当の黒幕とは??

利用されているのは本当は誰なのか??

チェンソーの悪魔とは何だったのか、気になって夜も眠れません。

派手なネタバレあり。チェンソーマン8巻の詳しい話と感想

という所で、詳しいストーリーと感想。

派手なネタバレあります。

前回、7巻最後。

サンタクロースの放つ人形たちがデパートへとなだれ込み、クァンシが乱入。

バトルは乱戦となりますが、そこへ岸辺が登場。

岸辺の元バディだったクァンシは、侍らせている魔人4人のうち2人を人質に取られ、大人しく椅子に座り、話し合いに応じます。

ところが話し合いは決裂。

両者一瞬にしてバトルの態勢に入り、7巻終了となっています。

その話し合いの場で出した岸辺のメモ。

✔ 「会話はマキマに聞かれている。」

✔ 「マキマを殺す 協力するならすべてを教える。」

さらに、いう事を聞けば逃がしてやるとも、メモを通じて訴えています。

岸辺には、元バディでもあるクァンシに対しては複雑な感情がありますが、公安の一員でもあるマキマを殺す。

ただのツリなのか本当なのか気になりますが、「マキマを殺す」という事については、上層部の共通した目的であることも、この巻から伺えます。

本当の事を教えるとは一体何の事なのか・・。

マキマの能力と、殺し屋たちの本当の目的

マキマが会話を聞いているというのは、これまでにもそれっぽい伏線がありました。

実際、マキマは虫やネズミなどの下等生物の力を借りて話を聞くことができるようです。

実は、サンタクロースに下された本当の指令も、デンジを誘拐する事ではなくマキマを殺すことでした。

この指令部分、本当の指令はマキマに聞かれないよう紙に託されていたという事が8巻で判明します。

という事は、マキマの能力は上層部の人間には知れているという事なんでしょう。

そして・・、サンタクロースへの手紙の最後に記してあった「終焉の日がくる」とは・・・??

チェンソーマン、いよいよ核心と幕引きに近づいているのだろうか・・。

地獄へ落され、サンタクロースとのバトルはファイナルステージへ・・・!

ストーリー続き。

クァンシとのバトルから離脱しようとするデンジとビーム。

そこで何かをデンジは踏みます。

7巻で、トーリカが師匠から託された、呪いの悪魔の釘です。

4回目の釘を刺すことに成功したトーリカは、師匠によって人形にされてしまいます。

人形と言ってもこれまでと違い、知能もある精巧な人形で、顔や目つきもこれまでと変わりません。

というか、人形の悪魔の身体として提供されたのかもしれません。

(トーリカの師匠が実は人形の悪魔だったのかとも思いましたが、最後の最後に「私は人形の悪魔と契約をしています。」と言っていたので、とりあえずこの線は消えました。)

結局、サンタクロースの正体は、トーリカの師匠だったという事になります。

どおりで名前が出てこなかったわけだ・・。

7巻で登場した、サンタクロースと思わしき老人も、精巧な人形でした。

「おじいちゃん。」と呼ばれていたけど、精巧な人形を作る条件を考えると、本物のおじいちゃん・・、だよねきっと。

トーリカは師匠を信じ切っていて、そんな事になると思ってなかったろうになんて気の毒な・・。

混沌とするバトルのメイン会場のデパートから一足早く抜け出たサンタクロースは、地獄の悪魔にデパートごと地獄へ導くように願い出ます。

契約の対価は、人形使いと3人の子供の魂です。

デパートの中には、デンジ達やクァンシ、トーリカもいます。

岸辺と吉田君はこの時デパートの外。

突然大きな手が現れ、デパートをつかみ、時空移動させます。

あっけにとられながら、岸辺達はその光景を眺めますが・・・。

魔人も恐れる地獄での静寂な死闘

サンタクロースは、トーリカを使って地獄にいる闇の悪魔からマキマを倒す力を手に入れようとしていました。

それが、本当の指令だったからです。

トーリカは、闇の悪魔に「契約通りチェンソーの心臓を持ってきたので、マキマを倒す力をくれ。」と、交渉します。

事前契約とかできるのか??

前の項でも書きましたが、ここでのバトルや舞台表現は素晴らしく、チェンソーマン一見の価値ありですよ!

地獄に落とされた面々は一瞬にして両手を失い、全く歯が立ちません。

命を失うものも多数。もう書けない・・。

その後、静かなる死闘を繰り広げますが、勝利の糸口も見つからないまま、あの人が地獄へやってきます。

「俺たちの願いを・・」と言いながら、最後の力をふり絞りデンジのチェンソーをふかすビーム。

「俺たちの願い」って、一体?

悪魔のいない世界か、永遠なる死?

それとも全く違うもの・・?

結局、マキマがトーリカを使って犠牲を払い、全員が失った腕もろとも地上に帰してもらう事になります。

この辺がちょっと理解に苦しむというか、『こういう事なのかな??』と想像しながら読まなければならない部分です。

一方サンタクロースは契約により、闇の悪魔の肉片を体に取り込むことに成功。

なんか変な生き物というか魔人というか悪魔に変化し、さらなるバトルに突入します。

バトルも佳境、最終的にとどめを刺したのは・・、ハロウィン?

地上へ戻った面々。

でも、デンジ以外は身体が元に戻っていない様子。

そこに、クァンシの頭部を持った魔人が、クァンシの眼帯の奥からクナイのような槍の先のようなものを引き抜くと、クァンシが変身。

彼女もまた、人間でも悪魔でも、魔人でもない生き物だったのです。

本編では名前すらなかったけれど、彼女は、槍やボウガンなどの悪魔と融合した、デンジと同じ生き物だったんですね。

これもあくまでも予想ですが。

夜の帳が降りてきて、闇に包まれた一帯。

闇の力により、力が増幅しているサンタクロース。

デンジは自らガソリンを被り、火だるまとなってサンタクロースを攻撃します。

炎に包まれながらもしぶとく消滅しないサンタクロースに、クァンシは自分の魔人「コスモ」にとどめを刺せと言います。

まぁ、しぶといのはデンジの十八番ですが、そこは置いておきましょう。

特大のハロウィン波を撃たれるサンタクロース。

そのポーズとセリフは誰もが知ってる〇~メ~~ハ~メ~・・

波っっ!!

コスモの特大ハロウィン波

撃たれたが最後、死ぬまでハロウィンの事しか考えられなくなるという恐ろしい技、「特大のハロウィン砲」を喰らったサンタクロースは、ハロウィンの事しか考えられなくなりました。

それにより、大量の人形たちもハロウィンの事しか考えられなくなり、サンタクロース戦は幕を閉じます。

そっか・・、7巻でクァンシ一行が出会う人達の中で、コスモに連打であいさつされてた人達、語尾がハロウィンになってたもんなぁ・・。

彼らは、自然にコスモのちっちゃいハロウィン砲を喰らっていたわけだ・・。

コスモが撃ったハロウィン砲は、当たるとコスモの思想の中というか図書館に誘われます。

そして、その莫大な知識の量が撃たれたものの脳内に流れ込むとの事。

その結果、ハロウィンの事しか考えられなくなるというのは、作者の遊びの部分でもありますが、森羅万象を知るという事は、考える事は無駄だという事を知るということでもあるんですね。

莫大な叡智を求め、先人たちの知識が脳内に流れ込んで燃え尽きたのは、映画「インディージョーンズ」の悪役だったか・・・

最後のオチはいいとして、ここでなかなか好きなのは、知識が流れ込むところで、一般的にはすごいエフェクトがあって、悪人たちが

「膨大な知識が流れこんでくるぞぉ~!!ハハハハハ!」

てなってから、狂っちゃう・・。

みたいな感じで、背景も、本の内容がぐるぐる回っているようなシーンを思い浮かべやすいんですが(私だけか?)

『チェンソーマン』でのこのシーンは、「静」で「無」なんですよ。

マザーグース的「静」。

素晴らしい。

本の背表紙が活字じゃないのも凄いし、敢えてかどうかは分かりませんが、ほぼ手描きのこの世界の質感も素晴らしいです。

物語ラスト。クァンシの最後と、「死体が喋ってる」

8巻のラストです。

サンタクロース戦を終えて、人形が焼ける煙が切れた所に岸辺と吉田が登場。

クァンシは一瞬構えますが、岸辺と吉田は自ら目隠しの体制。

このシーン、見たことあります。

公安たちが目隠しをするのは、マキマがその力を行使する時。

奥から剣を携えたマキマが登場し、8巻の物語は終わりを告げます。

この時、クァンシは自分が面倒を見ている魔人たちの命乞いをします。

自分の四肢を切られても、靴を舐めてもいいと。

だけど結局、命乞いをしたときには既に首は切られていて、クァンシ達の死は確定しています。

実際にマキマが剣を振ったコマはなく、クァンシが剣を捨てるひとつ前に、剣の上部が振れているようなエフェクトが入ったコマが挿入されているだけ。

この時マキマが放った一言が

「死体が喋っている」

これは、7巻でも使用されている言葉。

回転寿司でクァンシをがっかりさせた魔人ちゃんが、自分が切られたことにすら気づかない公安の連中を嘲笑った時に、中国語で放った言葉です。

あからさまな表現でなく、調べた人にしか分からない伏線というか、からくりが憎いですね。

目にも見えない速さで公安を切っていったクァンシですが、結局同じようにマキマに切られ、同じ言葉をぶつけられながら命を落とすという、恐ろしくも皮肉の利いたシーン。

レゼの時もそうだったけど、これで、マキマは全てお見通しという事が分かります。

ところでこのクァンシ。

登場した時から儚そうな人物でしたが、一連のストーリーやパワーへの振る舞いなどから、愛情深く、自分の魔人たちを大事にしていた様子をうかがわせます。

最後まで儚く退廃的な魅力を残して去っていったクァンシですが、最後のおまけ漫画でちょっとだけ救われました。

クァンシは、「最初のデビルハンター」と呼ばれていましたが、どういう経緯でデビルハンターに至ったのかは謎のまま。

岸辺と共に公安で過ごした10年で、一切年を取っていないという事は、その時すでに融合魔人だったのでしょうか??

んじゃ、マキマの正体は??

以降は次巻を待てと言った感じですね。

テンポはいいのに、語りだしたらキリがない『チェンソーマン』第8巻。

3兄弟のあて馬感もすごかったですね。

ただし、3兄弟の一人、アルドはきっと生きている。

伏線の様にラスト登場していますが、彼は1度吉田君に見逃されています。

吉田君、見逃す前に意味深に笑うんですよ、なんででしょうかね。

これから気になる・・。

『チェンソーマン』はどんどん面白くなっているけど、本誌ではフィナーレも見え隠れしています。

読む人を選びそうな作品ですが、読めば絶対面白いので、読んだ事ない人は読んでみてね。

それではまた。

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