【完結!!】『重版出来!』20巻のあらすじと感想

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画像は、『重版出来!』第20巻表紙より/松田 奈緒子/小学館

こんにちは。

またひとつ、大好きな漫画が終了してしまいました。

『重版出来!』。

ドラマにもなりましたが、漫画原作のドラマとしてはとても良い作品だったと思います。

いや〜、オダギリジョーの五百旗頭さん、そっくりでしたねw。

でも、よく考えると、ドラマってこの作品のほんの触りの部分しかやってなかったんですね。

連載も終了し、コミックスも完結となりましたが、終わるべくして終わったという感じで、作品としてすごくまとまりがよく、読後感最高でした。

寂しいけれど、刊行スパンや描かれてきたものを考えると、引き際というのはあるかもなと思います。

尚、作者の松田さんはSNSアカウントをお持ちで、たまに編集部の小エピソード的なものを発信してくださってます。

たまに会える編集部の面々に、最高に癒されます❤️

松田先生、更新やめないでくださいね〜(涙)。

そんな訳で、コミック『重版出来!』第20巻あらすじ。

多少のネタバレはありますので、ご了承ください。

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『重版出来!』第20巻あらすじ。帰ってこなかったあゆちゃんのパパ。果たして何年経っているのか?

さて、『重版出来!』の第20巻は、物語の最終章らしく、ストーリーは終息に向けて一直線。
『残り数ページなのに大丈夫??!』みたいな事はありませんでした。

最終ページに向けて、絶妙なバランスとペースで読者を重版出来の世界へ誘います。

数巻前から影を落としていた、あゆちゃんのストーカー問題も解決。

途中、あゆちゃんのお父さんかも・・、という予感を読者にさせながらも、あゆちゃんを陰からつけていた人間は、ほんまもんのストーカー。

最後は心ちゃんの一本背負が決まって警察に連行されていきますが、あゆちゃんのお父さんは結局、最後まで帰ってきませんでした。

あゆちゃんのお父さんがいなくなってからどれくらい経つのかと、今回サラッとこの漫画を読み返したのですが、本当に、様々な人間の成長物語があり、出版業界に携わる人達、クリエイターの人達のエピソードがあったなぁと、心が熱くなりました。

話は戻ってあゆちゃんのお父さんの話。

あゆちゃんのお父さんがいついなくなったのかというと・・、なんと、2巻のラスト!

今、20巻です。

当時あゆちゃんは中学2年生(夏くらいに進路指導を受けていて、翌年の桜の頃に更に進路指導の描写があるので、当時は当時は中2という事になります)で、ラスト近くに「(高校)3年になったし。」と言っていたから、時間の経過はおよそ3年半ですね。

今の自分から立ち直ろうと、スーツ姿で身の回りのものだけを持って失踪したあゆちゃんの父。

その顔には輝きが戻り、「未来へ。ずっとずっと未来へ。」とタクシーに行き先を告げ、以降作品から姿を消します。

彼は重度のアルコール依存症だったので、更生施設へ入院したと思われますが、アルコール依存症の入院治療は大体3ヶ月位らしいんですよね。

ただ、その後のリハビリや、退院後の生活が不安な人のためのグループホームや回復施設もありますから、そちらで再び漫画が描けるように日々訓練を重ねていると推察しますが、最終回までお父さんが消えたままなのにはちょっと驚きました。

本編では、読者の予測を捕捉するかのような、「お父さんだと思ってちょと期待した。」というあゆちゃんのセリフがありますが、色々な事情で描ききれなかったのかなと思うと、少し残念です。

たくさんの人から支援を受けて成長したあゆちゃんは、もう一人で立てる。

と言っても、まだまだ保護者が必要な高校3年生ですから。

でも、もしかしたら、重度のアルコール依存なのに、都合よく社会復帰できて、娘を迎えに来るようなイージーな描写を入れたくなかったのかも・・・、しれませんね・・。

あゆちゃんと中田伯はどうなった??

ところで、あゆちゃんに心を寄せる中田くんが、その後どうなったのかというと・・?

話が進むごとに、少しづつ距離が縮まったあゆちゃんと中田君。

登場時は荒んでいたあゆちゃんも、敬語が使えるようになり、小綺麗な高校三年生となりました。

同じく、尖っていた社会不適合者の中田君も、周囲に感謝できるようになり、自分の幸せを素直に求めることができるまでに人として成長。

改めて読み直すと今と昔でまるで別人な二人ですが、まとめて読むとその成長の様子が窺えて感慨深いです。

それにしても、心ちゃんはガッツがあるというか、優しいというか、良い意味で鈍感というか、素晴らしい人です。

私だったら、中学生にタメ口どころか、あんなに蓮っ葉で怖い態度されたら、向かっていけない。

中田君はお仕事相手だから大丈夫だけれど、あゆちゃんには、あんなに優しくできないなぁ・・。

ところで、ストーカーの関係で、あゆちゃんのアルバイト帰りを送っていた中田君ですが、あゆちゃんは、「進学のことを考えて、今月いっぱいでアルバイトを辞める事にした(意訳)。」と告げます。

あゆちゃんと会う口実でもあった送り業務が、遂にお役御免となってしまう事で中田君は、勇気を出して

「僕はずっとあゆさんに会いたい」

と告げます。

対するあゆちゃんも、「私も。」と答えて、シーンは終了。

この後、二人が恋人同士になった雰囲気はないけれど、二人の関係性は、気持ちよく描かれています。

あゆちゃんは中田君のミューズですからね、よかったです。

そして後半、話はちょっと前後しますが、中田君は、サイン会に出席し、人前に出ることを自ら決めるシーンが・・。

以前、中田君は雑誌のインタビューで写真を撮られたりしたことが苦痛で、2度と人前に出たくないし、写真が掲載されるのも嫌だと体調を崩したことがありました。

この時は、割と順風満帆で頑張っていた心ちゃんも関係各社に謝罪に行き、自分の不甲斐なさに涙を流していました。

そんな中田君が、人前に出る。

この時の流れやセリフも絶妙で、あゆちゃんの事もだけれど、この漫画は、人の成長が自然に、そして、読む者に勇気を与えるように描かれているなぁなどと、改めて感服。

そうだ、私がこの漫画を好きなのは、こういうところなんだ。

と、元気が出たところで、和田元編集長がサイン会に乱入し、例の言葉で了。

何回かは出たけれど、タイトルコールというか、タイトル回収。

途中、(私が大好きな)高畑一寸先生の素敵エピソードを挟み、まさに、『重版出来!』に相応しい、大団円で終了です。

高畑先生も、本当に本当におめでとう!

1ファンとして、私もとても嬉しいですよ〜・・(泣)。

途中で挟む、ディスレクシアという障害の話

ここまで、大まかなストーリーを書いてみましたが、本編の面白さはこんなもんではありませんからね、まだ『重版出来!』を読んでいない人とか、途中で降りてしまった人は、是非この機会に読んでみてほしいです。

物語は完結しているので、『途中から追えずに読みそびれた・・。』ということもありませんよ。

作品完結は寂しいけれど、一気にラストまで行ける安心感はいいですよね。

さて、重版出来!の20巻は、ストーリーが繋がって流れるようにラストを迎えますが、その間に1話「ひとりでみんなで」という独立したお話が入ります。

ピーヴが世界中の人に読んでもらえるようになり、喜ぶ心ちゃんですが、ある日WEBに届いた小学生のコメントに愕然。

「ディスレクシア」という障害を持った女の子からのコメントです。

最近は、様々な障害が広く認知されるようになりました。

ディスレクシアもそのひとつで、文字の認識ができない障害です。

アインシュタインもそうだったと言われてますし、最近では、トム・クルーズがそうだと公表し、広く一般にこの障害のことが知れ渡ることとなりました。

そんなディスレクシアの子は、なかなか漫画を読むことが難しいんですね。

世界のすべての人々に、ピーヴを読んでもらえると喜んでいた心ちゃんは、その浅はかさと思慮のなさに愕然として、落ち込みます。

正直に落ち込むところ、えらいぞ。

小説などなら、今はオーディオブックなどがありますが、漫画はなかなかそうはいきません。

テキストだけで表現するのがとても難しいのです(と、作中で説明がされています)。

松田先生、ラスト近くに重いテーマをぶっ込んでくるな〜と思いましたが、しかし、この回はディスレクシアを持つ子の学習方法なども描かれていて、非常に興味深いです。

障害のことを馬鹿にしたりせず、周囲の理解と協力を得ながら頑張る子供達は、私の子供の頃とは大違い。

道徳の教育なんて意味がないという人もいるけれど、道徳は、教える人がいないと身につかないものです。

この回の主人公が通う学校で、この子を馬鹿にしたりする子がいないのは、道徳教育の賜物でもあると、私は思いますよ。

あ、もちろん、その子が優しかったり、障害にめげてないところとか、卑屈にならずに頑張るところとか諸々が、周囲が協力してくれる大事な部分ではありますけどね。

しかし、障害の種類や、それがどういうものなのかなどの認知度が高いと、小学生でもあんな風に過ごすことができるのだと、目から鱗ですよ。

実際は、周囲の理解がなく悲しい思いをする子もいるとは思うけど、確実に世の中は変わってきている。

そう、そして、この回も、近い将来ディスレクシアの子も漫画が楽しめるよう、色々な開発が進んでいると、重いテーマながらも、暗い扉の先に光を見せるように終了します。

全体的な流れの中で、1話独立した話である「ひとりでみんなで」は、重厚で、とても読み応えのあるお話でした。

というところで、本日の記事は終了。

重版出来!は、私のバイブルの一つに決定。

本当に面白くて力が出るお話を、ありがとうございました。

一生懸命頑張る主人公像は、得てしてウザくなったり、女の子が嫌う女の子の代表のようになってしまう事もありますが、この作品に限っては共感しかなく、素直に主人公を応援し、自分の明日への力となってくれました。

先生、本当にありがとう・・。

それと、先ほどちょっと話題にしたオーディオブックは、最近では色々なところでの扱いがあり、気軽に楽しめるようになってきました。

私はまだ書籍派なんだけど、友人たちは家事をしながらだったり、寝る前にベッドの中でなどで楽しんでいるようです。

私も、父が脳梗塞の後、本が読めなくなったので、オーディオブックをプレゼントしようとしたのですが、スマホも使えない父は頑なに嫌がったので、結局試せませんでした。

でも、今にして思えば、強行的に与えて聞かせたら、案外気に入ったかもしれないなとちょっぴりだけ(もうほんと、マジでちょっぴりだけ)後悔しています。

それではまた。

オーディブルでは、湊かなえの人気作品や、ビジネス本などもあるようですよ。

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