【葬送のフリーレン】3巻のあらすじと感想

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『葬送のフリーレン』第3巻表紙/山田鐘人・アベツカサ/小学館

2020年12月、『葬送のフリーレン』第3巻が発売されました。

なんと、本屋に行ったら『このマンガがすごい!2021(オトコ編)』の第2位も獲得していたようで、早くも平積みになっていました。

嬉しいやらビックリやらです。

そして第3巻も、とても面白かったです。

いつもながら、すごくカッコいい戦闘シーンもあるのに、静かな世界。

ファンタジーの世界を堪能させてくれるアベツカサさんの絵は、とてもきれいで読みやすく、キャラクターたちが使う言葉に無理がなくてとてもいいのです。

少年漫画となると、キャラ立ちや差別化を意識して、無理な言葉遣いや言い回しの漫画が結構多いと思うのですが、『葬送のフリーレン』はどちらかというと、その世界観からか丁寧な言葉遣いをするキャラが多いんですよね。

3巻は、描きようによっては大事件やハラハラドキドキの展開になるエピソードがいくつかあるんですが、そこは膨らませないで、予定調和的に話が進むあたり、安心して読んでいられるのですが、これは、ハラハラドキドキよりも、じっくり読ませるストーリーに重きを置いているって事でしょうか。

このテンポで退屈せずに読めるって、すごいと思うんですよね。

そんな訳で、『葬送のフリーレン』、第3巻の簡単なあらすじは、次項になります。

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小学館
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『葬送のフリーレン』第3巻あらすじ

第3巻は、第2巻から続く、「断頭台のアウラ」との戦いからです。

これまでの話は、こちらの記事をご覧ください。

今巻の大まかなあらすじは、中盤までが、リュグナーや断頭台のアウラとの闘い。

途中、フリーレンの師匠「フランメ」との回想があり、フリーレンの過去もちょっと明らかになります。

その後、ひと段落した一行は再びエンデを目指す事にしますが、途中の北部高原を超えるために、1級魔法使いの同行が必要だという事をグラナト伯爵から聞きます。

フェルンは3級の資格を持っているのですが、フリーレンはこのシステムを知らなかったため、資格を持ってません。

1級魔法使いがいないフリーレンのパーティーは、仕方がないので、魔法使いの試験が受けられる、北側諸国の「オイサースト」を目指す事にしました。

「オイサースト」へは、シュヴェア山脈という、冬が厳しい山を越えねばならず、かなり遠い道のりとなるようです。

この間、真冬の山で冬を越したり、剣の里へ立ち寄ったりと、フリーレンの回想やシュタルクの過去に触れながらのショートストーリーが続きますが、シュタルクの過去は、「過去編」とかではなく、ほんの話の一部に自分の過去を語っているという形です。

だけど、非常に印象的なエピソードです。

『葬送のフリーレン』は、死んでしまった勇者「ヒンメル」ともう一度話すために、死者と話すことができる場所「エンデ」を目指すという話なんですが、エンデのある場所は、昔魔王城があった場所です。

その道のりは、昔魔王を倒すために通った道のりであり、昔立ち寄った村や町を再訪問する道でもあります。

同じ道のりの中で、今現在の仲間フェルンやシュタルクとのエピソードとともに、昔仲間だったヒンメルたちとの回想も同時に進行していくストーリーは、改めて、フリーレンの後悔を救う追憶の旅なんだなぁと思います。

ゆったりした世界観なのは、あくまでもストーリーが重視という事。

戦闘もあるけれど、フリーレンの世界の主人公はあくまでも物語です。

【ネタバレあり】断頭台のアウラとフリーレンの戦い

それでは、かなりのネタバレとなりますが、3巻始めから中盤までの大きなヤマ、「断頭台のアウラ」との戦いを解説しましょう。

2巻の終わりでは、かなり大規模な戦いのようでしたが・・。

北側諸国「グラナト伯爵領」で捕まったフリーレンは、牢屋から逃げ出して、伯爵領の外で待つ「断頭台のアウラ」の所に辿り着きます。

一方、フリーレンを呼び戻しに行こうとしていたシュトルクと、町民を避難させようとしていたフェルンはリュグナーとリーニエに見つかってしまいました。

2巻の終わりで一旦退いて、伯爵と共に一時町はずれの教会に避難していた二人ですが、前回の戦闘時にリュグナーにつけられた血によって、追跡されてしまったのです。

リーニエはツインテールのかわいこちゃんで、断頭台のアウラはちょっとセクシーな格好をしている今回の中ボス。

リュグナーは、リーニエと共にグラナト領へ和平の使者としてやってきていますが、実はアウラの手先。

紳士風の身なりで物腰も柔らかですが、これらは伯爵を油断させて街の結界を弱めさせるための手段であって、その実態は狡猾な魔族です。

こうして、グラナト領では、リーニエVSシュタルク・リュグナーVSフェルンの対決が始まります。

リーニエと戦っているシュタルクは、苦戦して大きなケガを負いますが、師匠であるアイゼンの言葉を思い出し、根性で勝利を勝ち取ることに成功しました。

絵の線がとてもきれいなので、戦闘シーンでも見やすくて、どういうアクションなのかはっきり分かります。

ぶち抜きや見開きのない戦闘シーンですが、これがきっと世界観を壊さない秘訣なのかもしれない・・。

さて、リュグナーと戦っているフェルンは、かなり戦闘を優位に進めています。

結局フェルンに負けるリュグナーですが、この時のフェルンは冷たさがあってとてもかっこよかったです。

常に敬語で冷静なフェルンの器は計り知れません。

ここで、リュグナーは、自分より魔力が少ないはずのフェルンが、ずっと魔法を打ち続けていられたことに大きな違和感を感じ、フリーレンやフェルンがいったい何をしていたのかを悟ります。

魔女フランメとの回想シーンと、フリーレンの勝利

フリーレンとアウラの戦いは、偉大なる魔女「フランメ」と、フリーレンの出会いの回想シーンを織り交ぜながら進みますが、今のところ、戦闘が長いタイプの漫画ではないので、フリーレンとアウラの戦いは早々に決着します。

アウラの能力は、自分の魔力より劣るものを意のままに操る事ができるというもの。

いつも手に持っている天秤に、自分の魂と相手の魂をかけて、魔力が劣る方を自分の戦士として操るのです。

強力な意思を持つ人間の場合、すぐに服従させることはできないようですが、これを面倒と判断したアウラは、負けた者達の首をはねて、首なし戦士としていました。

これがきっと、「断頭台のアウラ」と呼ばれる所以なのでしょう。

500年以上生きたアウラは向かうところ敵なしと自分を驕り、フリーレンにもたやすく勝てると思い込んでいます。

フリーレンから発せられる魔力のオーラはとても小さく、昔戦った時から全く成長していないと思っているようです。

でも、フリーレンは、自分の魔力をいつも小さく見せていたのです。

昔々、魔族の襲来によって一族を皆殺しにされたフリーレンは、そこに立ち寄ったのか、魔族の討伐に来たのかは分かりませんが、強大な魔力を持つ、人間のフランメと出会います。

ややあって、フリーレンはフランメに弟子入りをする事になるんですが、そこで学んだことが、今回の戦闘の要となっています。

フランメは、「魔法を使う種族、特に魔族は、潜んだりするときに一時的に魔力を小さく見せる事をするが、自分の魔力の放出を隠したりはしない」という事をフリーレンに教えます。

魔力を制限して、小さく見せる事は、誇りや尊厳を愚弄する事になるそう。

また、魔族と言う種族の特性上、自分の力を誇示する事によってしか統率する事ができないという事もあり、魔力を隠したりはしないし、そういう事もできないのだそうだ。

そこでフランメは、フリーレンに常に自分の魔力を制限し、相手を騙すやり方を教えます。

元々物凄く強い魔力を持つフリーレンですが、これを制限する事によって、相手を油断させ、敵を欺くのです。

常に魔力の放出を制限するには、物凄く長い修業が必要となりますが、フリーレンはこれを身につけました。

そしてフェルンも。

結局、アウラは自信満々に互いの魂を天秤にかけますが、大きく傾いた天秤はフリーレンの魔力の方が重いことを示唆。

この時初めて、アウラはフリーレンの魔力に自分は遠く及ばないことを知り、バトルは決着。

フリーレンに支配されたアウラは、フリーレンの命令によって自害して果てます。

静かな戦いと、追憶と、笑いと

「断頭台のアウラ」との決着、静かなシーンですが、メリハリや迫力があってとても面白く読みました。

戦闘って、こんな風な表現もできるんだという、目から鱗の気持ち。

ストーリーの構成上、頻繁に回想が入るのですが、このマンガはそこがとても大事な所。

現行のストーリーと並行して入ってくる回想シーンはとても自然で、キャラクターが活き活きしています。

昔旅をした仲間を思い出しながら、同じ道を違う仲間で旅をしていくスタイルは読みやすく、フリーレンが「たった10年」と言っていた旅が、その後のフリーレンにどれくらい影響があったかというのも読者によく伝わって、とてもいいんですよ。

登場する魔物もファンタジーの世界観を大事にするためか美し目だし、説教臭くない教訓やストーリーもあったりして、子供にも読んでもらいたいなと思える作品に仕上がっています。

創作の世界ではオリジナリティーが重要視されることが多いですが、『葬送のフリーレン』の場合、コスチュームやモンスターデザインについては、オーソドックスであまりオリジナリティーというものは感じません。

王道と言うか、セオリー通りな感じです。

そこがすっと物語に入っていける部分でもあるのですが、この世界の中で垣間見えるキャラクターの個性や笑いのバランスが、とてもいいんですよね。

3巻の終わりには、遂に僧侶が仲間になる気配。

一行は、稀有な才能の持ち主である僧侶の「ザイン」と出会います。

・・・、そろそろ回復役がいないと厳しいと思っていたんですよね。

次の街もちょっと遠いみたいだし、まだまだ一緒に旅を楽しめると思うと嬉しいです。

『葬送のフリーレン』は、まだ3巻が発売されたばかり。

まだ読んでいない人は、「このマンガがすごい!」所はどこなのか、読んでみて実感してみて下さい。

それではまた。

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