遂に・・、というか、ついこの間読み始めた時には既にクライマックスになっていた、リアリティがありながらもかなり虚構の物語『おちたらおわり』が、完結の運びとなりました。
もーねー、風呂敷広げてどうなっちゃうんだろうっていうか、ラストの想像はできるけど、どのくらい纏められるのかと、ほとんど動物園を見る様な気持ちでいた私ですが、これまた意外??
なかなかに纏まっていたので、ネタバレありますが、あらすじ絡めての感想です。
もう、10巻は正直孔美子のひとり舞台。
ラストにかけて、全てを孔美子色に染め上げた『おちたらおわり』のラストは如何に!?
屋上で死闘を繰り広げる孔美子様と明日海
9巻では、自分の境遇を受け止めるような夫に一瞬歩み寄るかに見えた孔美子でしたが、ちょっとした一言が癇に障ったと見え、ついに夫を刺してしまいます。
もう、無敵の人となった孔美子は陽美妃ちゃんを連れ、タワマンの屋上へ・・。
おおっ、このタワマン、ヘリポートがあるよ。
余談ですが、夫を刺した時に、孔美子は自分の祖父を殺害したことや、虐待していた母親に監禁などの仕返しをしたことを自供しています。
祖父は患っていて苦しかったらしいので、頼まれて幇助したようですが、母親に対する仕打ちにはちょっとだけスカッとしてしまった。
生い立ちや境遇、母親からの暴力やネグレクトなどの虐待により、後の孔美子が作られているのは確かであり、母の呪縛からの解放も孔美子の課題のひとつなのですが、裏切られ、やられっぱなしで悲しい思いをするだけの子供時代なんて、悲しすぎる。
やり返し、抵抗したからといって孔美子の喪失感や虚無感が消えて、満たさる訳ではないけれど、でも、ちょっとだけ読み手の心は軽くなった。
話は戻って10巻。
まだまだ冒頭。
陽美妃を連れ、屋上へ上がった孔美子は、明日海にビデオ電話をかけ、屋上にいることを知らせます。
急いで屋上へ向かう明日海。
対峙する孔美子と明日海。
ここから暫く孔美子劇場が繰り広げられます。
自分の生い立ちを語る孔美子。
空虚で満たされない思いと身勝手で独りよがりな独占欲を抱えたまま、ヒエラルキーの頂点に立ち、最後は華々しく散ろうとしたその時、半ば暴力的に、明日海により、生への道へ連れ戻されます。
が、しかし・・・、ここで孔美子を逃がそうと現れた、謎のヘリと、謎の男。
って、この人、爆破監禁事件の時に出てきた、謎の裏社会の人じゃない??
ヘリまで持ち出すとかどうなってんの?この漫画。
と言うか、孔美子側にいる人達って本当浮世離れしてるし、いきなりエピソードにフィクションフィルターがかかるからなぁ・・。
もうクライマックスだと思ったら、いきなりまた話が大きくなっててびっくりだ。
結局、孔美子は捕まり、明日海とはちょっぴり和解。
ラストは後日談という感じで、大方の予想通りの大団円でしたが、しかし、謎のイケメン「カイ」の添え物感というか、都合のいい王子様っぷりや、航平(明日海の夫)の、「いてもいなくても同じ」な影の薄さと頼りなさ加減は、孔美子のフィクション感を超える違和感を私に残しました。
あんなに都合のいい王子様(カイの事)で、人間のニオイがしない人なんて、おとぎ話でもいないよ??
最後、明日海に、これまた都合のいいプレゼントを残した彼は、一体何だったのでしょうね??
相変わらずのマウント合戦。女の友情は、これもまたいとをかし
さて、物語もラスト。
ストーリーは終息を迎え、プチ同窓会。
それぞれがそこそこの幸福を手にいれ、近況報告。
そして、相変わらずのマウンティング合戦。
でもまぁ、今の自分を偽らず、幸も不幸も交え、相手の幸せを喜びつつ、正直な自慢ができる所は好感が持てます。
建前や裏表のないマウンティング合戦。
女の友情の醍醐味は、実はこの辺りにあるのかもしれないですね。
『おちたらおわり』は、紙媒体他、電子書籍などでも読むことができます。
私はレンタルしたのだけど、絵柄が綺麗で読みやすいから、電子でサクッと読むのもおすすめですよ。
それではまた。