画像は『女の園の星』第2巻表紙より/和山やま/祥伝社
超楽しみにしていた『女の園の星』第2巻がやっと発売されました!
1巻が発売された当初は、2021年3月あたりを予定していたのに、4月に発売が決まりました。
そして、更に発売日が延期されて、店頭に並んだのが5月。
編集さんや担当さんのツイッターを読む限り、作者の和山やまさんが、納得いくまで加筆したとか・・。
本誌を読んでいないからどのくらいの加筆か分からないけれど、2巻は「エターナルカオル」程の衝撃は無かったけれど、おまけの「小林先生の休日②」も面白かったし、『女の園の星』は2期待を裏切らなかった。
2巻はちょっとセピア色の思い出が蘇り、懐かしくも胸が締め付けられるようなノスタルジーを感じる話もあり、ストーリーに多様性が出たような感じ。
そして、2巻は星先生がお勤めしている学校の名前が明らかになったり、星先生の素性が明らかになったり、新たな登場人物が増えたり、今後のエピソードとなり得る伏線があったり、小林先生や中村先生がフューチャーされたりと、一気に世界が広がった巻でもありました。
『女の園の星』と、「夢中さ、きみに」と「カラオケ行こ!」
2巻になって、ちょっと世界が広がった『女の園の星』。
私は初めて1巻を読んだ後、面白すぎて
この作者何者??!
一体他にはどんな作品を描いているんだ??!
と思って、『夢中さ、きみに』と『カラオケ行こ!』を買って読んだのですが、結構作風が違って驚いたんですよね。
あ、面白かったですよ。
「夢中さ、きみに」の方は、コメディータッチの学園物ですが、何となくトーンが静かで、ほっこりするような、感性が際立っているような不思議な感覚の物語。
わりとじわじわ来るタイプの面白さで、男子校が舞台の物語というかシリーズが1本。
そして、「うしろの二階堂」というシリーズの作品が1本と、作品としては2種類の物語が1冊に収録されています。
「カラオケ行こ!」の方は、1冊でストーリーが完結していて、ラストに番外編が1本て感じなのですが、こちらは、コメディですね。
男子高校生がヤクザにカラオケを教えるという、突き抜けた設定の奇抜な話ですが、意外と中学男子のデリケートな心情も表現されていて、ツンとくる部分もあり。
どちらも主人公は男の子だし、女の子が出てくるのはほんのちょびっと。
で、私は、この後よく女子高が舞台の『女の園の星』を描いたなぁと思っていました。
男性しか描きたくない人なのかな?とか思っていたし、BLの人なのかな?とも思った。
「夢中さ、きみに」も、「カラオケ行こ!」も、そういった表現は無いのですが(読みようによっては・・・どうかな??)そこはかとなくBL臭がするし、ていうか、「カラオケ行こ!」は、もうあれBLだから。
ちょっとしたアングラ感もあってなんか・・、エロチシズムを感じるんですよね。
和山作品に漂うBL臭と、絵柄の色気
まぁ、そんな感じで、『女の園の星』を読んだ後、和山やまさんの他の作品を読んで、ちょっとびっくりしていた私ですが、和山やまさんの絵って、端正だけど、ちょっと色っぽいですよね。
『女の園の星』1巻を読んだ時も、女子高生が色っぽいなと思ったけど、特に小林先生・・・、絵柄がエロくないですか???
人あたりもよくて爽やかというか親切で、体育会系と思いきや、インテリゲンチャ-の数学教師で、数列大好き。
なのに、タレ目でちょっとマッチョで泣きボクロ・・。
おまけに昭和のホストっていうか昭和のジゴロみたいな髪形と顔立ちで、なんちゅーか、エロい・・・、エロいです・・。
『女の園の星』からはほとんどBL臭がしてこないんだけど、小林先生のエロさがなんか・・、これ、きっと作者の性癖なんでしょうね。
そんな小林先生は、番外編でボサボサな髪に眼鏡に私服という姿を晒しています。
たった2ページのおまけですが、小林先生の人となりが現れた話で、彼の私生活も垣間見ることができます。
小林先生・・、きっと和山やまさんの中ではかなりキャラクターが出来上がっていて、作者に最も愛されているキャラなんだろうなと思います。
(気になる人は、すぐにコミックを買うのだ!)
実は、そのエロさがちょっと苦手だった私も、おまけの2ページで、小林先生に対して遂に好感度が上がってしまいました。
私にも数学教えてくれ。
『女の園の星』は、3巻も期待大!
『女の園の星』第2巻からは、1巻とは違って、ふんだんに和山さんの作風というか、性癖っぽいものが感じられます。
恐らく、初連載である『女の園の星』は、用心深くストーリー建てしたんじゃないかと思うんですよね。
和山やまさんのテイストを残しつつ、メジャー感を出して、一般ウケする作品にしたところ、大当たり。
もともと絵がきれいだしセンスがある方ですから、人気が出るのは当然なんですが、そこに、ある種の色気を感じたのは、私だけではないはずだ。
月刊連載だから、年に2冊くらいしか新刊を拝めないけれど、今私が追っている漫画の中では一番平和で誰にでもおススメできる『女の園の星』。
星先生が結婚していて、子供までいる事とか、小林先生が3人兄妹だとか、どうやら緑川先生が大者と結婚したらしいとか、中村先生の隠れた日常とか、今後に続くようなエピソードや伏線が沢山あった第2巻。
キャラクターに愛着が湧いたところで「続く」とか、うますぎますね。
さて、こんな話もそろそろ終わりですが、今日話題にした、和山やまさんの「夢中さ、きみに」と「カラオケ行こ!」は、どちらも完結しています。
なんと、「カラオケ行こ!」は、『このマンガがすごい!2021(オンナ編)』で第5位を獲得しているし、「夢中さ、きみに」は、第24回『手塚治虫文化賞(短編賞)』と、第23回『文化庁メディア芸術賞』を受賞しています。
10代特有の感情のひだやデリケートな部分を感じつつ、じんわりくる面白みがあるし、ストーリーも難解ではありません。
『女の園の星』ほどのメジャー感もないけれど、不思議な雰囲気が雫のように滴るような作品です。
『女の園の星』を読んで面白いと思った方は、是非こちらも読んでみて下さいね。
それではまた。