『おやすみカラスまた来てね』の第6巻はもう訳が分からなくなっている

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いくえみ綾作『おやすみカラスまた来てね』の第6巻が発売されたので読みました。

登場人物も増え、もう、訳が分からないことになっています。

さすがいくえみ綾・・・、見事に混戦した恋愛模様。

流されやすく、まっすぐには行かない恋愛のかけひきやモヤモヤがこれでもかというほど表現されています。

・・・、もう、共感性羞恥心で見てらんない・・・。

『おやすみカラスまた来てね』の6巻には、登場人物の相関図がついている!

『おやすみカラスまた来てね』の第6巻。

冒頭には、登場人物の紹介と、相関図がついています。

珍しいね。

私も以前、この漫画の紹介と共に人物紹介を記事にしたことがあるので、ドキドキ、ワクワク、若干のハラハラを含みながら読みましたが、大方自分の書いた記事と相違なかったので、編集側と自分の見解が一致していた事にほっと安堵。

人物紹介等に興味を持っていただける方は、是非こちらの記事をご覧ください。

そんな訳で、『おやすみカラスまた来てね』第6巻は、善の入院(盲腸だよ!)以降、ぜぇぇぇぇ~~んぶ恋の鞘当てというか、恋愛模様です。

全く、ほんと、スピリッツで連載しているにもかかわらず、巨匠いくえみ綾の恋愛漫画、健在です。

これ位の雑誌になると、説明文及び文字が多めで論理的であり、理路整然とした漫画になる事が多いと思うのですが、相変わらず、キャラの表情と前後のエピソード、行間を読ませる作風で、まどろっこしいというか、上手くいかない時は上手くいかない。

上手くいくときは3日でくっつく男女の超面倒くさいアレコレが見事に描かれています。

あ、これ、褒めてるんですよ、念のため。

恋のかけひきというか、大人ゆえ猪突猛進できない恋心とか、恋心とも親愛ともつかぬ複雑怪奇な心情が、気持ち悪いくらいに絶妙に描かれています。

新たな登場人物「大神 小波(おおがみ さなみ)」を投入し、誰が誰とくっついてもおかしくない恋愛の混戦模様・・。

善、もっとしっかりしろよ・・。

そんな中、柳原天は脚本家なだけあって、この漫画の中で自分の気持ちを上手に言語化できる唯一の人。

まぁ、紅央(善の元彼女。今回登場する小波と似ていると言われるが、個人的には似ていない)も似た属性があるけれど、この物語を引っ張れないので、その大役はおのずと柳原君へ・・。

この漫画、一人柳原の様に気持ちを言語化してストーリーを引っ張ってくれる人がいないときついですね。

恋のかけひきや気遣いすぎという事を気にせず、グイグイ押して勝利を得てきた人間に(結構こういう人多いと思うんだけど)、この恋愛模様は理解を得られるのか・・。

恋なんてね、早いもん勝ちなのよ。

とはいえ、大人の恋愛は、人間関係もしがらみもあり、自分一人がよければ良いってわけでもないのが厄介です。

誰かさ~、キメのセリフをぐいっといきなよ!

しかし、第6巻の時点では、誰が誰とくっついてもおかしくないし、変な伏線的なものも垣間見えるし、いくえみ先生は巧妙だわ。

ちょっとだけ痛い若者文化の取入れ・・

さて、今回は恋愛模様なので、あらすじはちょっとだけ端折りますが、新たな登場人物「大神 小波」と善。

柳原と一葉がいい雰囲気になります。

柳原と一葉に関しては、もう付き合っているといっていいくらい。

でも、その前に、善と一葉がとてもいい雰囲気に・・。

しかし!

鈍感な善の言動や振る舞いにより、一葉はカッチンというか、賭けというか、線引きと言いうか、悪く言えば網を張った状態になるんですよね。

善はさぁ、紅央と同棲していた過去もあるんだから、もっと察しがよくならないとダメでしょ。

本当に彼は、自分に好意を寄せてくる人間に弱いというか、無防備というか、流されやすい。

そんな感じで、一葉からすれば、善からは思ったような反応がないので、柳原さんの「俺と付き合わない?」というストレートな物言いにグッとくるわけです。

で、そんな感じで、恋の鞘当ては先行き不透明なまま7巻へ突入。

皆が皆過去を引きずっているあたり、今後の見通しが立ちません。

柳原にしたって、過去のお仕事については話しているけど、忘れられない女性の一人や二人いるかもしれないし、この先そんな女性が登場する可能性も充分にあります。

個人的には、過去の人間は「読み終わった雑誌(これ、神田うのが昔言ってた名言)」と同様、次に誰が読んでも気にならないし、本屋に並んでいても手にも取らないのですが、ところがどっこい、実際に目に入ると、そうでもなかったりするんですよね。

全く、こんな気持ち悪い感情を作者は本当に上手く描いているけど、ウジウジとしたその関係に、全く理解できない人も多そうです。

次巻予告では、善が遂に動き出すと書いてありましたが、とても気になります。

そして、私個人としては、大神さんの喋りがとても無理しているように見えました。

「あざっす。」

もそうなのですが、とても違和感を感じました。

感性を鈍らせないいくえみ綾の努力の結果として取り入れた、若者文化の言葉のひとつとして表現されたものかもしれませんが、さすがに「あざっす」は痛いような気がします。

一葉や長窪さんの言葉遣いが美しいので余計目立つのかもしれませんが、恐らくR30の女性があざっすはキツイし、「晒しますか?」もちょっとなぁ・・。

まぁ、私がもう若くないって事なのかもしれませんが、この先重要な役割を果たしそうな彼女に言わせたセリフとしては、ちょっと安いなという感想です。

『おやすみカラスまた来てね』は、2021年10月時点で既刊は6。

不定期連載ですが、大人向け漫画にしてはセリフは少なく、文字で表さない少女漫画技法がふんだんに使われている恋愛漫画です。

ただ、恋愛だけにとどまらない人生の振り返りを、共感性羞恥心と共に楽しめる・・、というか、黒歴史の蓋を開けるような漫画です。

気にある人は是非読んでみて下さい。

それではまた。