『チェンソーマン』も、いよいよラストまであと1巻。
9巻の急激な展開から、10巻ではマキマの目的が明らかになっています。
デンジの扉が開く衝撃の出来事と、コメディー回を含む第10巻。
今日の記事は、『チェンソーマン』第10巻のあらすじです。
ヨハネの黙示録を暗示するようなマキマのセリフにポチタの正体。
本誌での連載は既に終了していますが、『チェンソーマン』・・やっぱり謎だらけだった・・。
『チェンソーマン』10巻あらすじ【ネタバレあり】心のすき間を埋める代替行為に出るデンジとパワー
さて、『チェンソーマン』10巻。
9巻では銃の悪魔とマキマが対峙しましたが、その後、早川アキの死体を乗っ取って「銃の魔人」と化したアキとデンジが戦いました。
ラストは銃の魔人の消滅で幕引きとなりましたが、今思い出しても辛すぎます・・。
あの、アキのバトルの引き際が素晴らしかったですね・・。
そして10巻・・・。
アキが亡くなって数日・・。
パワーとデンジは空虚な生活を送っています。
泣くでもなく嘆くでもなく・・。
アキは貯金をかなり残していて、半分をデンジに、半分を姫野先輩遺族に相続させました。
そのお金で、デンジとパワーは狭いけど眺めのいい部屋に引っ越し、美味しいものを食べ、仕事以外の日はゲームをプレイする毎日。
大きくえぐられてしまった心のすき間を埋める方法は今の2人には見つけられず、「悼む」というやり方すら分からない状態です。
部屋にたまったゴミ袋の山が、心の状況を表していますね。
そんなある日、夜中にアイスを買いに出たデンジ。
ふと『自分がアキを殺した』ことを思い出し、食べたアイスを吐いてしまいます。
そこへ現れたマキマ。
デンジの様子を見て、温かいお茶を飲もうと自分の家に誘います。
随分タイミング良いなマキマ・・。
またどっかで聞いていたのか??
殺されたパワーと、自我が崩壊するデンジ
マキマの家で、温かいお茶とケーキ、人懐こい犬たち(なんと、マキマはハスキーを7頭も飼っていたのだ)の歓待を受けて、少し心が落ち着いたデンジ。
様々な困難を乗り越えたデンジの事を、マキマは「デンジ君はとってもいい子だよ。」と慰めます。
思いがけず涙を流すデンジに、自分も助けられたのだからと、マキマはいつかの約束を持ち出しました。
「私にかなえて欲しいことを言ってみて。」と。
すると、デンジは少し考えてこう答えました。
「犬・・、に・・・、なりたいマキマさんの・・・。」
色々な事が辛すぎて、考える事を放棄したデンジは、マキマの犬になりたいと言います。
「私の犬はいう事絶対聞かなきゃいけないよ?」
というマキマにも、静かに親指を立てるデンジ。
ていうか、第1巻の出会いから、デンジはマキマの犬じゃんね・・。
それを見たマキマは、今から来るパワーを自分が殺すから、デンジには玄関の扉を開けろと命令します。
何が何だか分からないけれど、考える事を止めたデンジは玄関の扉を開けてしまいます。
一瞬にしてパワーを殺すマキマ。
呆然としながらマキマに連れられ、部屋に戻ったデンジは、これは夢かとマキマに問いますが・・・。
明かされたデンジの過去と扉、そしてポチタとの契約
パワーが殺され、茫然自失とするデンジを見て、堪えきれず大笑いするマキマ。
実は、マキマはこの時を狙っていて、遂にデンジに秘密を明かします。
デンジがポチタとしてたのは、約束ではなく契約。
自分は、チェンソーの心臓を開放するため、デンジとポチタの契約を破棄にしたかった事。
デンジは自分の夢を見せる事をポチタと約束し、チェンソーの心臓を貰いましたが、些細な夢で幸せを感じているデンジのままでは契約は破棄できない為、一旦デンジを幸せにしてから、その幸せを壊そうとマキマは考えたようです。
アキやパワーとの同居も、全てはマキマが仕組んだものでした。
更に、デンジの父親は自殺ではなく、デンジ自身が殺したのだと明かされます。
デンジが封印していた扉は、父親殺しの罪の扉。
自分で受け止めきれない暗い過去を、記憶の奥に封印していたのです。
マキマに仕組まれていた事を知ったショックやパワーやアキを手にかけた事、過去の扉を開けられた事の衝撃で、デンジの自我は完全に崩壊したのでした。
マキマの目的は「よりよい世界を創る事」・・?
この後、やり過ぎたマキマを危険因子とみなした公安が、マキマ宅に攻撃を仕掛けます。
わりと凄い攻撃がマキマ宅に仕掛けられるのですが、マキマはビクともしません。
一応死んでいるようですが、生き返るのです。
そして、マキマはチェンソーマンに助けを求め、デンジは今までと全く違うチェンソーマンに変身しました。
デンジの自我のないチェンソーマンは、まるで獣です。
ここで初めて、岸辺と相対したマキマの口から、「自分への攻撃は、日本国民の誰かの死や病気に変換される。」事が明かされました。
・・・、そうだったのか・・・。
マキマは、自分をチェンソーマンのファンだと言い、チェンソーマンは「地獄のヒーロー」だと語ります。
助けを呼ぶとやって来て、相手をチェンソーで切り刻んでくれるけど、助けを呼んだ方も殺されるというめちゃくちゃぶり。
死んでもなお生き返り、胸のチェンソーをふかしては悪魔たちを切り刻むチェンソーマンを、ある者は恐れ、ある者は崇拝するという・・。
そして、チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在自体がこの世から消えてしまうとの事で、すでに消えてしまったものは、マキマの記憶からも消えかけているものがあるようです。
マキマは、この力を支配して、より良い世界を創りたいと語ります・・・。
ククッ。
俺の知ってたやつも、そんな事言ってたぜ・・。
確か・・、『新世界の神になる。』だったかな??
マキマVSチェンソーマン!生きていたコベニと・・、武器人間
この後は、自我を亡くしたチェンソーマンとマキマのバトル。
途中、生きていたコベニと再会する小休止的なギャグ回を挟み、マキマの手下というか何というか、「武器人間ズ」が登場し、乱戦状態のバトルに突入します。
武器人間ズとは、デンジの様に、悪魔の心臓を持つ者たちの事なんですが、チェンソーマンが一度食べてしまったのに、呼び名だけが消えて、その存在のみ残ったという不思議な人達の事だそうです。
その中には、美しく散っていったあの人達も含まれます。
あんな再登場・・、ちょっと見たくは無かったけど・・。
そして、第10巻のもう一つの目玉、生きていたコベニのギャグ回ですね。
最高です。
コベニは、サンタクロース戦で地獄に連れていかれ、生還したものの辞表を出し、8巻の後半から作品には登場していませんでした。
・・・、五体満足で生きていました・・。
しかも、ファーストフードでアルバイト中・・。
あんなにお金に拘っていたのに、いいのか??ファーストフードで・・。
コベニはこのまま11巻まで登場しますが、この回はすごいブラックユーモアが効いたギャグ回で、本誌では確か、巻頭カラーで掲載されていたと思います。
チェンソーマンなんて、顔が見えないのに細部の動きで表情を見せているし、ブラックな笑いは10巻の泉で、読めば読むほど面白いです。
コベニ回は多くの笑いを含みますが、ポチタがデンジから聞いた「夢」を、チェンソーマンが叶えているという部分でもあり、デンジとポチタは今もなお繋がっているという事を示唆する回でもありますね。
さて、ここでバトルの内容ですが、バトルなので派手さはあっても特筆すべきことはないのですが、ひとつだけ。
バトルの中で、チェンソーマンは一度マキマによって大気圏外に飛ばされます。
・・・、カーズか?!
いや、カーズじゃないのですが、この時、チェンソーマンは自分の心臓を取り出し、地球へ向かって星飛雄馬ばりのフォームで心臓を投げつけます。
投げつけられた心臓は、地球へ戻るまでに再形成され、再びチェンソーマンになりました。
ここ、大事なので、忘れないでおいてください。
『チェンソーマン』、世界の終焉と黙示録
『チェンソーマン』第10巻はバトルの途中で終了となりますが、今までにない濃い宗教感が漂っています。
結局その部分については詳しい説明もされないまま連載は一旦終了となっていますが、終焉や4人の騎士などのワード、チェンソーマンの眷属として紹介された魔人や悪魔が、それぞれ天使の座位であった事、更にはマキマ宅の玄関に飾ってあった絵画が「失楽園」であった事などから、様々な考察がなされてきました。
『チェンソーマン』がモチーフにしていた世界の終焉は、黙示録だったのは明らかです。
その部分はあまり作品では深堀りされなかったけど、とりあえず黙示録について超簡単に記しておこうと思います。
あ、私も全く詳しくないのでそこのところよろしく。
黙示録とは、「神からの啓示」的な意味のようですが、主に指すのは新約聖書の最後にある、「ヨハネの黙示録」の事で、予言書のようなものです。
そのドラマチックで謎めいた内容から、これをモチーフにした、映画や小説などの作品が数多くありますね。
解釈もそれぞれで沢山あるようです。
語弊があるかもしれませんが、超簡単にいうと、天界と下界が戦争をして、人類の罪が最後の審判によって裁かれる・・という感じの内容です。
この戦争の事を「ハルマゲドン」と言ったりします。
で、ハルマゲドンが始まる時に天使がラッパを吹くのですが、ラッパを吹くごとに現れるのが4騎士です。
(正確には、天使はラッパを7回吹きますが、始めに現れる4人の騎士の事を「4騎士」という。)
4騎士はそれぞれ「支配」・「戦争」・「飢餓」・「死」を司っているのですが、マキマは支配の悪魔です。
そして、第10巻でマキマは、この世から無くなった方がいいものとして「戦争」や「飢餓」、「死」をあげています。
また、マキマは、「チェンソーマンは、4騎士&武器人間ズと戦っている時に、突如いなくなった」とも言っています。
これを黙示録的に読み替えると、「ハルマゲドンの最中にいなくなった」とも取れますね。
戦争や飢餓や死なんて、無くなった方がいいものに決まっているので、作者の藤本タツキさんが、単純に語彙を黙示録からインスパイア-されたとも取れるのですが、それじゃつまらないから、こんな解釈。
マキマが支配なら、4騎士の一人だった可能性はあります。
で、自分以外の3人はいなくなった方がいいと思っている。
そして自分はチェンソーマンのファンだから、彼に食べられてもいいと思っているんですよね。
世界の終焉なんてそんなの人間が勝手に言っている事で、どうでもいい感じ。
より良い世界は、自分とチェンソーマンが一体となった世界の事か。
そろそろこの戦いを終わりにしましょうという事は、過去、何回もこの戦いはあったと考えられます。
・・・戦い疲れあり・・・。
実際チェンソーマンの方は戦いに飽きてるみたいだし、人間界が楽しいのかもしれない。
それで、もう、マキマは食べられるか支配する事によって、チェンソーマンとひとつになりたいと望んでいるのではないでしょうか??
文字通り、彼女がチェンソーマンの一部になる事に加え、別れてしまった世界をひとつにしたいと思っているのかもしれません。
この戦いを黙示録的にいうと、天界と下界が争っているわけだから、マキマさん的には「ロミオとジュリエット」なんですよ。
随分高圧的なジュリエットだけども。
マキマのこの小さな願いは次巻で明らかになりますが、10巻は宗教色の強い巻でした。
それから、マキマ宅にあった失楽園の絵画ですが、この絵はルシファーが天界から落とされる時の絵です。
これについても色々考察がありましたが、私は、デンジの自我が崩壊し、扉を開けてしまう状況、一種の「闇堕ち」のシーンを強調するための表現方法として使われてたんじゃないかなと思います。
私も実際にサラッと、いや、私にしてはじっくりと「黙示録」を読んでみたけど、やはり暗示的な内容でありイメージが湧かない所もチラホラ。
多数の解釈があり様々な作品のモチーフともなり、議論の的となった事も頷けます。
これについてはひとつ前の記事にもしたので、興味のある人は読んでみて下さい。
最後にリンクを貼っておきます。
『チェンソーマン』は、次巻が第一部の最終巻です。
第二部はジャンプ+で連載されるとアナウンスされたけど、明らかにならなかった謎は、明らかになるんでしょうか??
気になります。
それではまた。
黙示録が簡単に分かるドラマの事を記事にしました!『チェンソーマン』が好きならおススメです!