2020年9月18日に発売された『ゴールデンカムイ23巻』。
もう23巻ですか!!
本誌での連載もまだまだ続いていますが、23巻読みましたので、あらすじと感想を記事にします。
舞台は樺太から北海道に戻り、しばらく読んでいないと『どうだったっけな??』という読者の気持ちを汲んでか、23巻を開くと、たまについているあらすじのプチ漫画が挿入されています。
親切~~!!
新たな進展と激動はありますが、23巻はまだメインストーリーへは突入せず、広がった話を一時整理するような一冊です。
しかし後半は大活劇。
ハラハラドキドキで尊い場面もあり、さすがの完成度の高さ。
それでは23巻、ネタバレありますが、あらすじはこんな感じです。
『ゴールデンカムイ23巻』あらすじ
さて、23巻。
22巻で樺太からの華麗な脱出劇を果たした杉元と白石とアシリパさん。
あ、ヴァシリもいるか・・。
鶴見中尉の所にインカラマッを置いてきた谷垣は、ここで離脱しています。
(離脱というか、アシリパさん達が気遣って置いてきぼりにした。)
その後、北海道に辿り着いた一行は、ひょんなことから白金で大儲けしたという、砂金掘りの「平太」と出会いますが、平太は実は刺青人皮だった・・。
という所で、22巻終了してます。
平太師匠(砂金掘りの事を教えてもらってたので、白石が師匠扱いしていた)のエピソードは既に22巻で終了しており、平太師匠の刺青は杉元達の手にあります。
そこで23巻です。
舞台は小樽にある家永の病院。
小樽には、アシリパさんが生まれたコタンもありますね。
網走で重傷を負ったインカラマッは、この病院に移されています。
22巻でアシリパさんを助けようとして、逆上した杉元に左肩を刺された鯉登少尉も入院しています。
という事は、ここは鶴見中尉の息がかかった軍の病院という事でしょうか。
家永も鶴見軍に捕獲されていましたが、医者としての腕を買われ、この病院にいるようです。
家永が逃げ出さずここにいる理由は他にもあるのですが、それは後半で。
杉元一行は杉元一行で、この漫画の原点に返るが如く、3人で刺青人皮を探す旅を続けています。
今巻ではヴァシリは出てこなかったけど、どこ行ったんだろうねぇ??
一人で尾形を探しているのか??
そしてその尾形は、土方陣営に戻ってきています。
アシリパに打ち抜かれ、眼球は失いましたが、身体の調子は戻ってきているようです。
土方陣営は相変わらずの雰囲気ですが、アジトに一同集結。
土方歳三を筆頭に、長倉新八に牛山様、都丹や門倉もいますが、雰囲気は小休止という感じ。
ストーリー的にはここで、尾形の口から語られる形であらすじが入り、鶴見勢・土方勢・杉元勢が持つ刺青人皮の解説及び、残り枚数の確認がなされます。
残り4枚ですってよ、奥様。
余談ですが、アジトには、21巻で中尉に脅迫され、二重スパイの命をうけた有古もいます。
刺青人皮を鶴見軍から略奪しようとした有古でしたが、逆に捕まり、江渡貝くん作成の贋作を鶴見中尉から持たされました。
しかし、土方歳三も、奪ってきたそれは贋作だろうと感づいています。
その部分の進展はありませんでしたが、今後の展開が気になります。
というか、有古気の毒に・・・。
新展開。海賊房太郎と、札幌の連続殺人犯
という感じで、23巻前半は、各陣営の置かれた状況や消息などの解説が入り、小さなエピソードがひとつふたつ。
中盤は宇佐美の過去編から、谷垣とインカラマッの逃亡、追撃する月島と少尉。
そこから怒涛のクライマックスへとつながります。
22巻でおいていかれた谷垣は、鶴見に「自分は金塊争奪戦から降りる。」と告げますが、中尉がそんな事許すはずもありません。
インカラマッを人質として取られているものの、彼女は自分で逃げ出すだろうと油断していた谷垣。
ところが、鶴見は、「インカラマッは谷垣の子を宿している」ので、逃げ出せないという事を告げます。
絶対優位な鶴見にスパイ活動を強いられる谷垣。
結局悩んだ末、実直な彼はインカラマッを迎えに行き、2人で逃げる事を選びます。
流れとしてはこんな感じなんですが、その中に新展開を匂わせる2人の刺青人皮の情報が入ってきます。
一人は「海賊房太郎(かいぞくぼうたろう)」で、一人は今、札幌をにぎわしている連続殺人犯。
海賊房太郎の方は、土方陣営の門倉情報。
網走編で焼け落ちた監獄の修繕作業のため、樺戸から囚人を移そうとした際に数名が脱獄。
その数名は、刺青人皮「海賊房太郎」の側近だったとの事。
この脱獄は恐らく海賊の手引きだったのだろうという事で、土方軍は海賊房太郎が動き出したのだと予想します。
一旦整理しますが、刺青人皮は、現在の所全部で24名とされています。
網走監獄で、同時期に囚人であった刺青人皮。
その中には、土方や牛山、白石も含まれます。
なので、海賊房太郎の事は、土方や白石は知っていると言う訳です。
しかし、23巻では、海賊を追っているのは現在の所、杉元達だけ。
白石が22巻で知り合った平太師匠の置き土産から、海賊の居場所を突きとめました。
さらにこの時、のっぺらぼうが支笏湖に沈めてしまった金塊の一部を、既に海賊が見つけていた事も明らかになっています。
一方、土方軍と鶴見軍は、札幌で起きている連続遊女殺人犯は刺青人皮だと、札幌に向かっています。
鶴見中尉はアシリパ探しにも余念がなく、自分たちはアシリパさん達を追い、宇佐美と菊田特務曹長を札幌へ向かわせます。
状況次第では、中尉達もアシリパ探しを切り上げて札幌に向かうようですが、鉢合わせ必至の札幌編は、24巻以降となりそうです。
緊迫してきた空気の中、杉元達は別行動。
海賊房太郎のくだり以外は、今回は日常パートが描かれている感じですね。
そこがいいんだけど。
『ゴールデンカムイ』23巻詳しいあらすじと感想。ネタバレあり!
『ゴールデンカムイ』23巻も面白かったです!
とかいつもこれしか書けないのだけれど、本当に面白いです。
樺太から帰ってきて、ストーリーが進みつつも大好きな雰囲気に戻ったという事もありますが、今回のシマエナガの話とか『ええっ!!』というか、酷すぎるというか、相変わらずというか、こんなオチを持ってくるなんて、野田先生も酷いねぇw。
23巻では宇佐美の過去編があると聞いて不安もありましたが、内容は宇佐美らしいクレイジーっぷりでした。
以前、『宇佐美の過去編とか読みたくありませんね。』と書いた事があるのですが、宇佐美らしいというか、中尉の犬としてのさじ加減が絶妙だったなと思います。
今回は、宇佐美の過去というよりは、中尉がどのようにして自分の飼い犬を手にいれたのかという事を重要視した内容となっています。
宇佐美の気質を説明するために過去を描くことは大事だったと思うけど、何となく、宇佐美は単純に中尉を崇拝しているというだけでよかったんじゃないかな~とかは思います。
人間らしさを持つ月島軍曹と鯉登少尉からは、中尉に対してできた心の距離を感じさせる今回でしたが、鯉登少尉の上官命令のシーンはかっこよかったですね!!
そして・・、23巻一番の山場は、谷垣とインカラマッの逃亡劇とコタンでの出産です。
インカラマッを助けに小樽の病院に辿り着いた谷垣に、追撃する月島と少尉。
自分の命と引き換えに2人を逃がしたのは、なんと家永。
家永は、自分の母親の面影をずっと追っていたと漏らしますが、インカラマッの出産を本気で楽しみにしている様でした。
自分の母親とそっくりの女装をしている家永にとって、妊婦である母親は完璧だったと。
子供のころから性への不一致を感じていたであろう家永にとって、妊娠は自分には出来ない命の育みでもあり、憧れでもあり、妊婦であった母親は女神だったのかもしれませんね。
家永は、自分の母親は階段から足を滑らせて流産したと言っていますが、この時もしかして、同時に母親も亡くしているのかもしれません。
もしくは、生きていたとしても、家永の母親としての記憶はきっとそこで終わっている。
きっとこの時点での母親が、家永にとっても完璧像だったんでしょう。
だからこそ、これから完璧になるであろうインカラマッを、自分の手で助け、完璧を見届けたかったのかもしれないですね。
最高の自分にしがみついて人肉食を続けていた家永は、第6巻で牛山に「あなたの完璧はいつだった??」と問うています。
・・・、ていうかさ~、家永しんじゃったの??!!
牛山様の次に好きだったのに!!
ホントに?ほんとにぃ~??
また『家永生きてた!!』って感じで登場してくれないんだろうか??
本誌組ならご存知と思いますが、本誌追ってないからな~・・・。
残念です・・、ショック・・。
後半の逃亡劇と出産は、それぞれの気持ちや弱い所が交差して、素晴らしい出来でしたね。
軍曹の心の恋人エゴ草ちゃんの行方にもほんの少しだけ触れます。
そう、これ、すごく気になってたんですが、結局、鶴見中尉が言った「東京にいる」というのも「死体が見つかった」というのも、本当なのかウソなのか分からないまま。
しかし23巻でそれが明らかに・・・
ならなぁ~い!!
けれど、ここで軍曹の心のすき間が見えたことで、今後すっきりさせてくれる事が予想されます。
インカラマッには見えていたみたいですが、今後の展開を待てって感じですね。
『ゴールデンカムイ』は、ストーリーがしっかりしていて、ギャグとシリアス、活劇のバランスがとてもいいです。
しかも、23巻も出ているのに話のブレもなく一貫しているのにマンネリ感がなく、いつ読んでも素晴らしいです。
10月5日からはアニメの3期も始まります。
もう、今更追いつけねーよ!!
とか思わないで、レンタルでもなんでも読んでみて下さい!
それでは。