『これ描いて死ね』を読んだ感想とあらすじ・・これはちょっと・・やられたな・・。

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画像は、『これ描いて死ね』第一巻/とよ田 みのる/小学館より

最近ちょっと話題になっていた『これ描いて死ね』を読んでみました。

「マンガ大賞2023」を受賞したとの事で、正直な所、普段は絶対手に取らない絵柄なんですが

これは・・

ちょっとやられたかも・・・。

と言う感じです。

2023年4月現在、既刊は3(この記事を書いてる時にはまだ出ていないけど、この後すぐ3巻が発売される)。

月刊サンデーで、絶賛連載中です。

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『これ描いて死ね』の超序盤の超簡単あらすじと感想

そんな訳で、手にした『これ描いて死ね』。

「◯ロ◯ロコミック」の連載と見紛うような子供っぽい絵柄。

「◯ゃお」とかで昔よく見た意味不明なタヌキのマスコット。

因みに、タヌキのマスコットは主人公の相棒で、喋る。

勿論、周りには見えない・・。

これもう、セーラームーンとかツバサとかきらりん☆レボリューションとかのあれか?

と、色々と痛い思いが頭をめぐる。

そして、私がかなり苦手とする設定の、理解の無い教師・・。

この漫画、まだ2巻までしか出ていないけど、読み切れるだろうか・・。

という不安な気持ちで一杯。

そして、ちょっぴり青臭い第一話の内容はこれだ。

漫画が大好きな高校生「安海 相(やすみ あい)」は、今日も登校時間前に愛読書を読んで、一人百面相。

時折、肩にポケモンの如く乗せたタヌキのぽこ太と会話したりもするが、それがとても痛い。

それに、タヌキのマスコットてさぁ・・、その手の内容はこちとらずっと昔から何かで読んでいたわけで、正直

・・・痛い。

痛すぎる・・。

もう、この手の漫画は自分には無理な気がする・・。

という感想。

で、相が夢中になって漫画を読んでいる姿を見かけた手島先生は、『漫画なんかに没頭せず義務教育が終わった事に自覚を持て』と𠮟ります。

その後も、学校で漫画を読んでいる相を良く思わず、職員室で延々と漫画のくだらなさを語り、お説教をする。

今時、こんなに漫画や生徒の「好き」に理解のない教師っているのか??

と、ちょっぴり冷めた気持ちでページをめくる。

(個人的に、とても苦手な設定)

そして、相の「漫画は噓じゃないよ」というセリフに、なんかこっちが恥ずかしくなる・・。

どうやら、舞台は海の綺麗な離島で、田舎。

作者の出身である、伊豆大島が舞台らしい。

キャラクターの子供っぽさに、漫画に理解の全くない様子の教師に加えて、ちょっと古い絵柄の先入観から、この漫画は、まだ漫画が子供だけのものと思われていた、前時代を設定としているのだろうか??

二十四の瞳や瀬戸内少年野球団を彷彿とさせる雰囲気に、『これから、漫画が全世代に受け入れられるまでの過渡期を舞台として設定しているのだろうか??』

と、思わされたが、次のページで液晶ディスプレイのPCが登場し、SNSなんて言葉が出てきて、現代のお話なんだと理解。

相の愛読書は、その昔、打ち切りになった「ロボ太とポコ太」というマイナーな漫画で、作者は今、何をしているのか分からない。

その作者の名前は「☆野0(ほしのれい)」。

SNSのアカウントはあるものの、もう何年も更新すらされていない。

所がその日、数年ぶりに☆野0がSNSを更新。

次のコミティアで、新作を頒布するという。

コミティアとは?

「コミティア」とは、東京で年4回開催される、同人誌の即売会です。

2次創作やコスプレで有名な「コミケ」と違い、こちらはコスプレNGで、2次創作もNG。

完全オリジナルの創作物しか販売できない決まりです。

但し、作者本人の作品であれば、かつて商業誌で展開していた作品を基にした創作や、単行本にならなかった分の頒布は認められています。

同人誌がよく分からない人や、もっと詳しく知りたい人は、ググってね。

「コミティア」が何かすら知らなかった相は、憧れの先生に会いに、そして、新作を手に入れるために、遂に高速船へ乗って東京へ向かいますが・・。

と言うのが、超序盤のストーリー。

ここから話が超展開するのですが、大人になってしまった自分からすると、絵柄の事もあるんだけど、序盤は結構キツく、こっぱずかしさと青臭さが目立ちます。

でも、ほどなくしてというか、あっという間にそんなこと忘れて作品に引き込まれてしまい、読む手止まらず。

なんて恐ろしい子・・

『これ描いて死ね』の読みやすさとキャラのバランス

あらすじ続き。

まだ2巻までしか出ていないので、なるべくネタバレを気にしつつ、サラリといきます。

コミティアでカルチャーショックと衝撃的出会いを受けた相は、友人の赤福(これが、「ポプテピピック」のポプ子に似てるんだ)と共に、漫画同好会を立ち上げようと試みます。

で、結局、同好会は立ち上がるんですが、とにかくストーリーのテンポがよく、途中、漫画のノウハウや解説なんかが入ってきて、とても面白いし、不覚にもちょっと涙が出たりしました。

序盤の構成や設定をボロクソに言って、とよ田先生本当にすみませんでした。

と言う感じです。

同好会が立ち上がるまでにも紆余曲折あり、途中、コンプレックスなども描かれるのですが、うだうだ悩んだり、ギクシャクしたりという部分が少なく、解決までが早いのに、決してイージーではない。

それなのに、ダルイ展開がほとんどない。

事件や葛藤、派手な起承転結を交えて超絶熱く描くことも出来るのに、この漫画はわりとあっさり描かれて、熱くなるのは読者の胸。

悩む部分とか、すれ違ってしまうもどかしさで延々引っ張る漫画って多いけど、『これ描いて死ね』は全然違う。

・・・個々の悩みは結構深いんだけど、登場人物たちは、得てして素直。

こじらせ具合が軽傷なのは、やっぱり離島の環境とか、抑圧されながらも、大事に育てられているという事が、本人たちに分かっているというベースがあるからなんだろうか・・。

まぁ、こじらせと言えば、『これ描いて死ね』の巻末には、連載前に読切で「スピリッツ」に描かれたらしい漫画『ロストワールド(元のタイトルは「デビュー」)』が収録されているのですが、こっちの主人公はめちゃくちゃこじらせてます。

本編に繋がる大事な漫画なので、おまけ読切は飛ばしてしまう派も、絶対飛ばさず読んでください。

『これ描いて死ね』のタイトルが回収されているのは、むしろコッチの方です。

さて、1巻のラストは、高校生にしてコミティアの壁サー(大人気で行列ができるので、壁側に配置される超強力なサークルとか作家さんの事)石龍 光が登場し、物語は広がる。

真面目で極一般的なアベレージ高校生の主人公「安海 相」に、大人しい性格で、これまた一般的な高校生の「藤森 心(ふじもり こころ)」。

この二人にアクセントをつけるが如く、マイペースで笑顔で毒舌の「赤福 幸(あかふく さち)」。

赤福とは別の意味でのマイペース、天才肌でちょっとエキセントリックな「石龍 光(せきりゅう ひかる)」。

ここに、真面目なのになんか面白い顧問の先生等が加わって、キャラのバランスやストーリーのバランスが素晴らしい作品です。

特に、天才肌の光については、才能とそのエキセントリックさ故に周囲を疲弊させる存在かと思いきや、彼女は意外と真実を語る。

この漫画は多分、「漫画好きによる、全ての漫画好きに送りたい、漫画好きのための漫画」みたいな紹介がされがちなんじゃないかと思うのですが、そんなんじゃなくて、学園ものとかコメディータッチのストーリー物として普通に面白いと思うので、普通に色々な人に読んでもらいたいなと思います。

漫画をちょっとでも好きだったりかじったりしたことがある人なら、『これ描いて死ね』は間違いなく面白いと思うんですが、そういう紹介のされ方に、個人的には辟易しているし、ちょっと違うと思うんですよね。

別に漫画がそんなに好きじゃなくても読んでみて下さい。

今ならゲッサンWEBで1話読めます

という事で私は、とあるネタバレだけは書くまいと、本日頑なに避けていた部分があります。

そんな頑なに隠したネタバレ、第一話であっさりバラされてるし、公式ページでも普通にあらすじとして書かれています。

ネタとしては割とベタなのですが、私はその前の描かれ方から結構衝撃を受けたんですよね。

そんな第一話、只今「ゲッサンWEB」で無料で読めます。

ただ、セリフ回しやストーリーが面白くなるのはここから先なので、皆さんは、この先何とかして読んでみて下さいね。

それではまた。

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