『チェンソーマン』第2巻表紙より/藤本タツキ/集英社
今週の『チェンソーマン』すごく良かったですね。
まさかあの漫画であんな演出見られるとは思いませんでした。
今日の記事は『チェンソーマン』第91話の感想等です。
コミック9巻は明日(2020年11月4日)発売されますが、第91話の収録はそれ以降となります。
ネタバレ厳禁の人はご注意ください。
ネタバレあります。
デンジの復活『チェンソーマン』第91話の感想
先週、マキマに殺されたはずのパワーが、ポチタの力を借りて復活しました。
ポチタがパワーに話しかけるシーンでは、子供向けな説明と共にアンパンマン風メルヘンを感じましたが、あれってワザとな演出なのかな?
パワーが復活して登場したシーンには、ファンは全員歓喜したと思います。
一気に雰囲気も変わりました。
モノクロの原稿なのに、色を感じるとかすごすぎ。
ところで、パワーは血の魔人でした。
魔人とは、悪魔が人間の死体を乗っ取った者ですから、悪魔として復活すればもう今までのパワーの姿じゃないのですが、悪魔バージョンのパワーもカッコいいデザインでしたよね。
しかし、あの作者、どうしても内臓を描かなきゃ気がすまないのか・・?
思考場面では以前のパワーの姿で登場するので違和感もなかったです。
パワーのクズさを思い出させるラストも『おいおい・・』という感じで、愛嬌を感じました。
ポチタの「そんな・・。」という表情も、ちょっと絵本ぽかったです。
もしかして暫くギャグ回が続くのか?と思いきや・・、今週。
今週は、マキマに脅迫されて裏切ったと思われたパワーが遂にマキマに逆らいます。
パワーがデンジを連れ込んだのは(表現悪いな・・)、『チェンソーマン』第1話で、ポチタと融合するのと同じ場所。
D40のダストボックスです。
ダストボックスの中で、デンジはマキマに殺されたはずのパワーと再会します。
今まで見たことのないパワーの表情。
慈愛と自己肯定感に溢れた表情で、パワーはデンジに話しかけます。
もしかしてパワー、初めて自分の行動が間違っていなかったと胸を張れた瞬間か?
パワーの問いかけに初めて自分の感情に名前をつけて言葉にできたデンジ。
このシーンには胸が熱くなりました。
このやり取り後、デンジはパワーとお別れをし、再会を約束して目覚めます。
奇しくも、目覚める構図や飛び起きる構図も第1話と同じ。
なんて憎い演出・・。
白状すると、第1話と同じというのは娘に指摘されて気づきました・・。
ごめん、デンジ・・。
ダストボックスの中での2人のやり取りには思わず泣けてしまいました。
こんな素直なストーリーや演出、この漫画でされるとは思わなかったですよ。
ああ、立ち読みしなくてよかった・・。
コンビニで泣いちゃうとこだったよ。
ダストボックスから立ち上がり、岸辺の問いに静かにピースサインをするデンジ。
ここで「やるぜ!」でもなく「絶対勝つぜ!」でも「生きてやる!」でもない演出。
デンジの愛すべき、ちょっとお調子者でバカな部分を押し出しながらも、成長と希望を感じさせる1コマです。
素晴らしい。
あんなポーズでこんな感動させちゃうとか、藤本タツキのセンスはおかしいですね。
それにしても、近くで待機していた岸辺。
D40のダストボックス。
これって普通にトレースなのか、何かのサインなのか、??
第1巻では、デンジがヤクザの親分に刺されてポチタを連れて逃げますが、結局やられて捨てられちゃうのがD40のダストボックス。
今回は、パワーがデンジを助けようと逃げ込むのがダストボックス。
どちらも記号はD40。
D40は管理番号ですから、同じダストボックスという事になります。
単純に絵の使いまわしという事も考えられますが、この漫画でそんなことするかなぁ??
ダストボックス自体がデンジの脳内という事も考えましたが、どうみてもあの箱はあの場所にあるんですよね。
物理的に・・。
作者は「なぞり」の演出が好きみたいなので、演出の好みの問題と言えばそれまでだけど・・。
ちゃんと泣くことのできたデンジはもう大丈夫だと思う
ちょっとしたオマージュやトレースに伏線を感じながらも、第91話読了。
今までデンジは深く考えることを嫌っていたため、悲哀や喪失感という感情と上手く付き合えていませんでした。
アキの死後も喪失感を抱えてはいましたが、その感情がどういうものか、どう扱っていいのか分からないまま、結局マキマに誘導されて現在に至っています。
突然の別れというのは、心にぽっかり穴が空いてしまい、現実味も無くて、思考も停止してしまうものなんです。
その結果、パワーと引きこもってゲームをしていたり、美味しいものを食べたりと、心の穴を埋める代替行為に及ぶわけですが、今回はちゃんとパワーと別れを告げる事ができました。
それにより、デンジの自我が覚醒し、チェンソーマンから戻ることができたのですが、その目には涙。
姫野が死んでも、アキが死んでもその感情と付き合えなかったデンジの初めての涙。
姫野先輩の時はまだ情緒が発達していなかったんだけども、ちゃんとしたお別れと再会の約束ができて、涙を流す事の出来たデンジはきっともう大丈夫。
来週の予告には「スーパークライマックス」と書いてありました。
巻頭カラーだそうです。
しばらくの鬱展開後、覚醒したデンジの活躍なるかという所で楽しみです。
それにしても岸辺さん・・。
彼は最強と謳われてますが、どういう人なのか気になります。
マキマは自分より下だと思えば、支配する事ができる。
今の時点で岸辺はマキマの目の上のたんこぶだと思うんですよね。
なのに支配しないという事は、自分より格上とマキマが認識しているのか?
支配する価値もないと踏んでいるのか??
まだまだ気になる事や書きたいことがあるけれど、北海道でチェンソーマンの9巻が発売されるまで我慢することとします。
それではまた。
最後。
ポチタと融合した時、マキマはデンジにこう言います。
「君の親友(ポチタの事)は、君の中で生きている。浪漫的な意味じゃなくて。」
(『チェンソーマン』第1巻参照)
浪漫的な意味でなければ、物理的という事ですよね。
じゃあ、パワーも??
デンジとポチタの契約は、デンジの夢をみせること。
現時点でのデンジの夢はきっともう、胸を揉んだりジャムのついたパンを食べる事じゃない・・・。