こんにちは。
この記事を書いているのが2021年1月後半。
中学受験、大学受験、高校受験の真っただ中ですね。
昨今の受験事情は昔と変わってきていますが、ちょっと受験を覗いてみたいとか、我が子の受験のために、予備知識を入れたいとか、世の中から遅れたくない。
これから自分が受験するなんて言う時に、読んでおくと面白い受験関連の漫画を3つ、今日は紹介します。
もう結構前になるけれど、「ビリギャル」も大流行しました。
漫画『二月の勝者』もドラマで始まります。
受験や教育関連て、地味に需要がある分野で、ヒット作も生まれやすいですね。
さて、今日紹介する漫画も超有名なものなのですが、『つまらなければヒットはしない。』という事で、短い紹介文と感想と共に3つご紹介します。
1、フィクション中のフィクション!奇抜な漫画『ドラゴン桜』
受験マンガの金字塔、この名を知らない人はいない『ドラゴン桜』、全21巻。
2018年から、”2″も連載されています。
経営破綻寸前の底辺高校「私立龍山高等学校」の再建のためにやってきた「桜木建二」は、学校を手っ取り早く再建させるために、進学校への転換を考えます。
その為には、「東大合格」というアピール度抜群の実績を作るのが一番と、東大進学コースのクラスを作りますが・・・。
この漫画は、とにかく奇抜な作戦や、桜木先生(この人は、再建のためにやってきた弁護士であり、教員ではない)の極右的な物言い、オールオアナッシングな考え方に感化されちゃう人が多そうだけど、正直言って、東大に行くような子は子供の時から地頭がよくて、成績優秀。
受験までの数年間の積み上げも必要ですし、いくら頑張っても、今まで勉強してこなかった子たちが1年で東大合格なんて、机上の空論、おとぎ話です。
だけど、その奇抜な作戦やフィクション感がこの漫画の面白い所で、ドラマ向けでもある部分ですね。
一見夢物語のようですが、作中にはしっかりと天才君も登場します。
『ドラゴン桜』では、受験のノウハウやテクニックだけではなく、勉強してこなかった子たちの背景や家庭事情も描かれますが、ストーリーは前半と後半で若干ブレが出ています。
どんなブレかは読んでみてのお楽しみですが、まぁ・・、奇抜な作戦だけでは合格できないのは、想定の範囲内です・・。
(この部分は、キャラクターの口からも言い訳の様に語られている。)
ただ、奇抜な作戦や勉強方法、受験テクニックやデータに基づいた数字などに関しては得るものも多く、受験までに数年ある生徒さんなら、面白く読めるだけでなく、かなり受験や人生の参考になる部分も多いと思います。
作中で桜木は、「勉強しない奴らは永遠に搾取され続ける」というような事を生徒に言いますが、これは本当の話です。
勉強してこなかった人は、モノを調べるのが苦手だったり、調べ方が分からず損をしたりします。
それから、勉強が面倒な人って、ちょっとの事を調べるのも面倒で、情報を得られない事も多く、その得られなかった情報が、どれくらいの損失なのかの想像もできません。
そんな事も、歯に衣着せぬ物言いで、カリスマの如く喋る桜木先生に、『おおっ!そうか!』と子供は影響される事請け合い。
巧みに学歴コンプをくすぐり、自分たちが底辺から這い上がるためには東大進学しかないと思い込ませるあたりすごいのですが、これは、ある程度大人に差し掛かった高校生を相手にしているから通じる手かなと思います。
『ドラゴン桜』は、もう20年近く前の作品であり、センター試験は共通テストに変わりましたが、20年経っても読まれ続ける受験マンガ。
登場人物も割と多いですが、勢いのある漫画なので、一気に読めてしまいます。
ちょっと浮世離れしていますが、受験生の子を持つ親や、受験生にもおススメの一冊です。
2、芸術的に面白い!リアルを追求した『二月の勝者』
『二月の勝者』は、2021年1月現在、「ビッグコミックスピリッツ」で連載中の漫画です。
既刊は10。
10月には、柳楽優弥主演でドラマ化も決まっています。
この漫画は、大学受験を題材にした『ドラゴン桜』と違い、中学受験が題材であり、舞台は中学受験の専門塾です。
中学受験となると、読む方の意見や教育論で賛否両論ありそうですが、それとは別にして『二月の勝者』は、恐ろしくリアルで面白いです。
中学受験のシステムや塾の料金システム、そこに通う子供たちの層等々がとにかく詳しく描かれているだけではなく、通う子供達や家庭環境、塾講師など、登場人物の背景や性格、キャラクターが細かく描き分けられていて、びっくりします。
舞台は東京であり、私立中学自体が少ない地方ではピンとこない部分もあるかもしれませんが、地方都市の受験事情に触れる回もあり、それが本当に当たっているので(具体例として札幌の受験事情に触れられている)驚きました。
コミックの最後には、ずらりと並ぶ参考文献。
大量の情報に基づいたリアルを追求するストーリー作りは圧巻です。
『二月の勝者』は、塾側から見た中学受験を扱っていますが、営利目的の塾が、少子化の中生き残りをかけて打ち出す一手は、周到で目を見張るものがあり、現役社会人や、就職を控えた若者にも大きなインスパイア-を与えそう。
中学受験となると親のエゴと思われがちですが、一部の子たちにとっては上も下も等しく面倒を見なければならない公立学校教育では限界もあり、生き辛い場所となる事も多いわけです。
そんな子たちには、その子にあった教育方針や校風、同じような教育環境が必要な場合もあり、塾側は、パンフレットや情報を駆使して、ニーズに合った受験校を勧めてきます。
莫大な情報やノウハウを持っている塾の指導は驚くほど的確で、読む側は一種のカタルシスまで感じてしまう位。
とはいえ、このマンガでは追いつめられる保護者達や、子供たちの葛藤も描かれますし、塾講師のキャラも様々です。
絵柄はちょっとクセがあるけど、人物の描き分けがうまく、子供の様子も活き活きと描かれていますし、リアルを追求した『二月の勝者』は、今私が一番面白いと思っている漫画のひとつですので、読んでみて下さい。
3、中学受験のその先へ『ハガネの女』
『ハガネの女』。
このマンガも、吉瀬美智子主演でドラマになっています。
今日は、受験マンガを題材にして記事を書いていますが、『ハガネの女』は厳密にいうと受験カテゴリーではなく、学校・教育ものになると思われます。
小学校の臨時教員としてやってきた稲子は、問題のある4年生のとあるクラスを任されますが、まさに今、公立学校が抱える問題が山積み。
そんな中、持ち前のバイタリティと真っ直ぐな正義感と観察眼で、稲子はクラスの問題に立ち向かい、次第に信用を得ていきますが、数十年前と違い、親子ともに抱える問題や環境は、大きく様変わりしています。
稲子は、そんな問題の根底にあるものに目を向けて解決を試みるのですが、全ての問題がクリアーになるという事もなく、問題は問題のまま卒業を迎える児童と保護者もおり、きれいごとだけでは済まない教育現場のアレコレも描かれています。
その中には中学受験の話題も組み込まれているのですが、モンスターペアレントと共に描かれる様子は、『二月の勝者』とも違う描かれ方がされ、これもまた一つのリアルです。
物語の後半では稲子の職場がハイレベルな私立中学へ変わり、エリート教育の実態や、進学校の様子を知ることができます。
稲子自身は、「教育は平等であれ」という考えなのですが、校長側は「それではエリートは生まれない」という方針。
どちらの言う事も説得力があり、読みながら悩んでしまう所。
しかし、稲子自身も前半に、「出来る子はその環境に入れてあげないと浮いてしまう事がある」と、保護者に中学受験を勧める場面もあり、進学校で授業を行う際も、集中して授業に耳を傾ける生徒を前に、授業がしやすいと感動をしています。
義務教育は絶対に必要だと思うけれど、レベルも環境も多様な中、等しく学ぶというのは、今や無理があるのかもしれません。
『ハガネの女』の後半は、進学校のシステムや学級運営、それに取り組む保護者の様子や、中学受験で一般家庭から入学した子と内部進学者たちの乖離性を描く様子は興味深く、今でも時々借りたりして読んでしまう漫画です。
と言う訳で、本日ご紹介した3選。
有名すぎる漫画ばかりですが、どれもすごく面白いです。
受験というだけで見たら、ダントツに『二月の勝者』の完成度が高いのですが、作風はどれもみな違うので、是非すべて読破していただきたいです。
中学生以上の学生さんなら、まずは『ドラゴン桜』を読んでみて下さい。
読みやすさや万人受けという事でいうと、『ハガネの女』がおススメです。
それではまた。