『忘却のサチコ』に元気を貰う

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『忘却のサチコ』第117歩扉/阿部 潤/小学館 より

 

最近私が大好きな漫画のひとつ『忘却のサチコ』。

ドラマにもなったし、一時メディアでもかなり紹介されていました。

ありがちなグルメ漫画と思いきや、誠実で実直なサチコの姿に、いつも元気を貰っています。

 

2020年5月時点で既刊は13。

最新刊も、素敵な話で頑張る力を貰いました。

 

『忘却のサチコ』紹介とあらすじ

 

『忘却のサチコ』は、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載中のグルメ漫画です。(2020年5月時点)。

作者は 阿部潤。

 

高畑充希さん主演でドラマ化もされました。

 

出版社で働く「サチコ」は、真面目で四角四面な性格。

そんなサチコには、細身でなかなかイケメンの婚約者がいますが、なんと、いよいよ結婚式という日に、婚約者に逃げられてしまいます。

置手紙を残しての蒸発で、何か理由がありそうですが・・・。

 

傷心のまま職場に戻ったサチコ。

それまで食には全くという程興味はなかったのですが、『美味しいものを食べると婚約者(俊吾という)の事を忘れられる』という事に気づきます。

それ以来、仕事の帰りには空虚な心を慰めるために、美食を探し続ける・・。

みたいな話です。

始めは俊吾の事を忘れるためだけに食事の事ばかり考えていたサチコですが、落ち着いて仕事をするようになるとエピソードが増え始め、サチコの仕事や人に対する誠実な姿勢に感心し、物事がうまく運ぶ結末にカタルシスを覚えるようになります。

 

一見感情に乏しく、他人に厳しく面白みも可愛げもないサチコに婚約者がいたことにビックリですが、読んでいくと『これは単なるグルメ漫画ではない』という事に気づかされます。

 

ストーリーは大体1話完結。

長くても前後編から3話程度となっていますが、美食は毎回お仕事のまとめ的な役割で、最後に出てきます。

 

『忘却のサチコ』の面白さと変化

 

文芸誌の編集をしているサチコは、担当作家に頼まれて全国各地に取材の旅に出る事が多いのですが、旅行が好きなら、この部分だけでも面白いと感じる人が多いと思います。

 

初めは、可愛げなく、取りつく島のないようなサチコの様子に、『これもただの食べ物を食べるだけの漫画か・・』という印象を受けますが、その印象は、少しづつ変わっていきます。

 

私も1・2巻はそんなに魅力を感じなかったのですが、読んでいくにつれてサチコの性格や雰囲気が変わり、大好きな漫画に変わっていきました。

・・、という事で、正直1・2巻あたりはそんなに面白くありません。

 

『忘却のサチコ』のメインはストーリーにあり

 

『あまり面白くないな??』と思って読み始めた漫画ですが、『忘却のサチコ』のメインは食ではなく物語です。

 

多くのグルメ漫画は、メインが食でストーリーはわずかな添え物というのが多い気がしますが、この漫画のメインは何と言ってもストーリーです。

 

もちろん食がなければこの漫画は完結しないと思うのですが、メインはあくまでもストーリーで、ストーリーパートも長いです。

 

その中で、サチコは毎回奮闘し課題をこなしていくのですが、ラッキーで事が運ぶわけではありません。

 

取材相手への十分すぎる下調べや正直な物言い、素直な態度や言葉遣いの中に、サチコの真摯で誠実な人柄を見る事ができ、ただの熱意やラッキーだけでは信頼を得る事は出来ないんだと、もういい年の大人なのに改めて思い知らされます。

特に、私はズボラであまり周到に準備しない方なので、サチコを尊敬するとともに、毎回清々しく、わが身を思い返し反省しきりです。

(だからといって、この性格が直るわけでもないが・・。)

 

『忘却のサチコ』のススメ

 

『忘却のサチコ』は、線がきれいで絵柄も端正。

人物の描き分けもうまいので、男性向けの漫画が苦手な方でもすんなりと読み進める事ができる作品です。

ただ、前半は主人公であるサチコの表情が豊かではないので、共感したり親近感が湧くといった事があまり無いかもしれません。

 

サチコの設定は、どうやら「美人で巨乳だけど、取りつくシマのない感じ」のようなんですが、美人感もあまり出ていないし、『この人、なんで編集者なんてやれてるんだろうか??』という疑問を抱く方も多いでしょう。

そのギャップが後々この漫画のいい所にもなるんですが、ちょっとしたズレを感じる人もいそうですね。

 

だけど、読んでいくにつれてこの漫画の素晴らしさが身に沁みたり、読後に得られるカタルシスが癖になったりしてきます。

 

グルメ漫画のジャンルですが、掲載誌が大人向けのものの為、セリフも多く、エピソードもコメディーあり、考えさせられるところありと読みごたえもばっちりです。

 

特に、最新13巻の最終話は、サチコが将来編集者になるきっかけを作った作家とのエピソード。

話の内容はもとより、ある程度の大人が読めば自己の若かりし日を投影し、切なくもぎゅっと心をつかまれる事間違いなしの素晴らしい話です。

 

相変わらず『忘却のサチコ』は面白かったけど、13巻は明日への力をもらえる一冊であり、最終話は最高に素敵な話でした。

もしも、何かの縁で、気になってこのブログに辿り着いた方は、一度まとめて読んでみて下さい。

 

さて、私も明日から仕事頑張ろうかな(程々にだけど・・。)。

それではまた。